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魔法使い×あさき☆彡
第二十八章 わたしの名は、ヴァイス
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、後ろへと跳ね飛んでそれぞれ尻から地に転がっていた。

「自分で、自分は倒せないからね。……だから、どいていろ」

 ゆっくりと立ち上がりながらの、黒い少女の言葉。
 触れた瞬間に反発し合ったことを、いっているのであろう。それがなにを意味することであるかは、アサキには分からないが。

「どかないよ。わたしは、まだ仲間なんだと、思っているから」

 ふんわり白衣装の少女も立ち上がって、またアサキを背負って両腕を大きく広げた。

「これまでただの一度も、お前を仲間や味方だなどと、思ったことはないけどな」
「わたしは、ずっとそうであると思っていた」
「どうでもいいよ」

 白と黒、二人の少女は言葉かわしながらお互いに接近し、拳を打ち付け合った。
 正確には、黒い衣装の少女が執拗にアサキを狙おうとし、白い衣装の少女が身や拳で進路を塞いでアサキを守ったのである。

 二人の拳が、反発に大きく跳ね上がっていた。それぞれ、ぶうんと回る拳に身体が持っていかれて、ふらりぐらりとよろけた。

 その様子を見ながら、白い少女の背後で守られながら、アサキは思っていた。

 どうして、この子たちはお互いに触れ合うことが出来ないのだろうか。
 何故、わたしたちはこうして生命を狙われているのだろうか。
 そして、この白い服の女の子は、何故わたしたちを助けてくれるのだろう。

「たち、ではありません。彼女の狙いは、あなたですよ。(りよう)(どう)()(さき)さん」

 一瞬の間に三度、アサキはびっくりした。
 目の前にいたはずの白い衣装の少女の声が、すぐ背後から聞こえたこと。
 少女が自分の名前を知っていたこと。
 少女に自分の考えが読み取られていたこと。

「出来ることなら、守ってあげたいと思うのです、わたしは。でも、この通り、自分で自分を攻撃は出来ない。だから……」

 白衣装の少女の、小さくもはっきりとした声。

 ぞくり
 アサキの全身に、鳥肌が立っていた。
 背筋を、なにかが突き抜けていた。

 白い衣装の少女が、撫でたのである。
 真っ白に輝く右手がアサキの背後を、頭から腰まで撫で下ろしたのである。

 輝きがすうっと染み移り、アサキの全身が真っ白に包まれていた。
 少女の右手と同じ色、ぼおっとした真っ白な光に。
 身体だけでなく、手にしている洋剣までもが。

「余計なことを」

 黒衣装の少女が、つまらなさそうに口元を歪めた。

「どうであれ負ける気はしないがな。しかし、その力を御せるようになられると、ほんの少しだけ厄介になる。……ならばその前に!」

 言葉の終わるか終わらぬかのうちである。黒衣装の少女が、アサキの視界を完全に塞いでいた。
 黒衣装
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