暁 〜小説投稿サイト〜
魔法使い×あさき☆彡
第二十八章 わたしの名は、ヴァイス
[6/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
詠唱して、なんとか抜け出そうとするアサキであるが、やはり身体を動かすことが出来ない。

 黒衣装の少女、その手がアサキの額に触れた。

 なにが起こる?

 なにも、起こらなかった。

 消失していたのである。
 黒衣装の少女の手から白い輝きが、完全に。

 すっ、と黒衣装の少女は視線を左右に走らせる。
 誰かを探すよう視線を走らせ、ぴたり目の動きが止まった。

 その視線の先には、ここにいる黒服の四人ともアサキたちとも違う少女が立っていた。
 その少女が右手を上げて、真っ直ぐ前へ、黒衣装の少女へと向けている。
 白く輝く、右手を。
 そのエネルギーが、黒衣装の少女の破壊エネルギーを打ち消したのだろうか。
 アサキを救ったのだろうか。

 誰……

 アサキも、その少女へと視線を向けた。

 ゆったりふんわりした、白い衣装。
 緩いウェーブの掛かった、ブロンド髪。

 先ほどの、少女であった。

     4
 ゆったりふんわりした、ズボンなのかスカートなのかも分からない白い衣装。
 ふんわりウェーブの掛かった、肩までのブロンド髪。
 先ほど忽然と現れて、()(だれ)の巨体を一撃の元に吹き飛ばしひっくり返し、そして姿を消したあの少女だ。
 彼女が、黒衣装の少女の破壊エネルギーを打ち消してアサキを助けたのである。

 破壊エネルギーと共に呪縛効果も打ち消してくれたのか、不意にアサキの身体はよろけて前のめりになった。
 必死に抵抗をしていたため、消失感にバランスを崩してしまったのだ。
 がくり膝と手を着き四つん這いになったアサキが顔を上げると、目の前で二人の少女が向き合っている。
 片や白、片や黒、ふんわりとした衣装を着た、幼い、瓜二つの顔をした少女同士が。

「まだ早いといったはずだよ」

 白い衣装の少女が、ぼそり小さく口を開いた。

「……だいたい試練もなにもないんだ。彼女たちはまだ身体が出来上がっていないのだから」

 それは謎に満ちた、白い少女の言葉であった。

 その言葉を受けて、黒衣装の少女はつまらなそうに唇を歪めた。

「はあ、だから先ほどもこいつらの手助けをしたわけか。でもね、思い違いをしないで欲しいけど、これは試練じゃないよ。……抹殺だ!」

 黒衣装の少女は、四つん這いになっているアサキをちらりと見た。
 と、その瞬間には、既に地を蹴って、白く輝く右手を再びアサキへと突き出していた。

 もう呪縛は解けているが、あまり不意だったのでアサキは避けることが出来なかった。
 でも、その攻撃はまたもや不発に終わった。
 白い衣装の少女が、間に入り込んで、その拳を胸で受けたのである。

 二人が触れ合った瞬間、お互い反発して
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ