第二十八章 わたしの名は、ヴァイス
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詠唱して、なんとか抜け出そうとするアサキであるが、やはり身体を動かすことが出来ない。
黒衣装の少女、その手がアサキの額に触れた。
なにが起こる?
なにも、起こらなかった。
消失していたのである。
黒衣装の少女の手から白い輝きが、完全に。
すっ、と黒衣装の少女は視線を左右に走らせる。
誰かを探すよう視線を走らせ、ぴたり目の動きが止まった。
その視線の先には、ここにいる黒服の四人ともアサキたちとも違う少女が立っていた。
その少女が右手を上げて、真っ直ぐ前へ、黒衣装の少女へと向けている。
白く輝く、右手を。
そのエネルギーが、黒衣装の少女の破壊エネルギーを打ち消したのだろうか。
アサキを救ったのだろうか。
誰……
アサキも、その少女へと視線を向けた。
ゆったりふんわりした、白い衣装。
緩いウェーブの掛かった、ブロンド髪。
先ほどの、少女であった。
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ゆったりふんわりした、ズボンなのかスカートなのかも分からない白い衣装。
ふんわりウェーブの掛かった、肩までのブロンド髪。
先ほど忽然と現れて、至垂の巨体を一撃の元に吹き飛ばしひっくり返し、そして姿を消したあの少女だ。
彼女が、黒衣装の少女の破壊エネルギーを打ち消してアサキを助けたのである。
破壊エネルギーと共に呪縛効果も打ち消してくれたのか、不意にアサキの身体はよろけて前のめりになった。
必死に抵抗をしていたため、消失感にバランスを崩してしまったのだ。
がくり膝と手を着き四つん這いになったアサキが顔を上げると、目の前で二人の少女が向き合っている。
片や白、片や黒、ふんわりとした衣装を着た、幼い、瓜二つの顔をした少女同士が。
「まだ早いといったはずだよ」
白い衣装の少女が、ぼそり小さく口を開いた。
「……だいたい試練もなにもないんだ。彼女たちはまだ身体が出来上がっていないのだから」
それは謎に満ちた、白い少女の言葉であった。
その言葉を受けて、黒衣装の少女はつまらなそうに唇を歪めた。
「はあ、だから先ほどもこいつらの手助けをしたわけか。でもね、思い違いをしないで欲しいけど、これは試練じゃないよ。……抹殺だ!」
黒衣装の少女は、四つん這いになっているアサキをちらりと見た。
と、その瞬間には、既に地を蹴って、白く輝く右手を再びアサキへと突き出していた。
もう呪縛は解けているが、あまり不意だったのでアサキは避けることが出来なかった。
でも、その攻撃はまたもや不発に終わった。
白い衣装の少女が、間に入り込んで、その拳を胸で受けたのである。
二人が触れ合った瞬間、お互い反発して
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