第二十八章 わたしの名は、ヴァイス
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ったが、三人の手には白く輝く光の剣が握られている。
なにはともあれ、このように一人にさえ苦戦していたのが四人になってしまった。
それは絶対的不利どころではない状況といえたが、だが、
「うあああああああああ!」
アサキは、まったくひるんでいなかった。
躊躇することなく、四人へと向かっていた。
叫び声を張り上げながら。
剣を振り回しながら。
この逆境に、まったく絶望など見せることなく。
ただ、活路を切り開くため必死に。
一番近くにいた黒服の少女が真っ白な光の剣を身構えるが、アサキは気持ちの勢いに身を任せて身を突っ込ませると、右手の洋剣で光の剣を跳ね上げていた。
ほとんど同時に、左足を軸に後ろ回し蹴りを放つ。
胸への強烈な一撃に、黒服の身はたまらず後ろへと飛んでいた。
モーションの大きな技を繰り出したその隙を、三人組の一人が狙う。アサキの頭部へと、光の剣を打ち込んだのである。
だけどアサキは予測していた。防御障壁の魔法陣を左手に張って光の剣を受け止めつつ、軽く身体を屈めて、膝を伸ばしながら叫んだ。
「巨大パアアアアンチ!」
小柄な身体に不釣り合いな、とてつもないサイズに巨大化させた右拳で、アサキはアッパーカットを放っていた。
ぐしゃり音がして、黒服三人組の一人の身体が間欠泉のごとく打ち上がっていた。
せっかく攻撃を見事ヒットさせたアサキであるが、打撃を上手く相殺して受けたか大きなダメージではなかったようである。黒服は、空中で姿勢を正しながらなにごともなく着地した。
いや、少しではあるが、ふらりよろめいていた。
まったくの無傷ではない。アサキの攻撃は、効いているのだ。
「やるじゃねえかよ、アサキ!」
「ほうよ。うちらも、負けてはおれん!」
アサキが見せたガムシャラな反撃は、カズミたちの心に火を着け、こうして三対四の、全員が入り乱れての戦いが開始されたのである。
3
やはりというべきか、魔法使い三人組の中では、アサキの強さが群を遥かに抜いていた。
最初に現れたゆったり黒衣装の少女にこそまだ苦戦しているものの、そのコピーのような黒服三人組に対しては、対等以上の戦いを見せているのだから。
しかも、ゆったり黒衣装とのやりとりにすらも、少しずつ、順応し始めている。
アサキからの攻撃こそ、のらりくらりかわされてしまうが、反対に相手からの攻撃も確実に受け流すことが出来るようになっていた。
アサキとしてはまったく余裕などなく、ただ必死なだけであったが。
「これで、身体があまり動かないんだあとかいってんだからよ。どこまでふざけてやがんだよ」
「味方が強くてありがたいことじゃろ」
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