第二十八章 わたしの名は、ヴァイス
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ないけれど。
「紛らわしいっつーんなら、違うのにすっかあ?」
「ほじゃけど、シュヴァルツから考え直さんといけんし。ここにヴァイスタが現れない限りは、紛らわしいこともないじゃろ?」
「ま、そうだな。と、いうわけで……」
ちらり、またカズミは白い衣装の少女へと視線を向けた。
「わたしの名はヴァイス、ということですね。承知しました」
たったいまヴァイスと名付けられた白い衣装の少女は、薄い笑みを浮かべながら小さく頭を下げた。
「なんか気恥ずかしいからこそ早速呼ばせて貰うけど……ヴァイス、ちゃん、あのね……」
呼び掛けながらアサキは、なんだか不思議な気持ちでいた。
外国語の言葉で人を名付けて呼ぶことの違和感に。
どこの国の人間にも見えないが、どこの国の人間にも見える、少女がそんな無国籍な容姿であるため、そういう意味では違和感はないのだが、それはそれだ。
「はい。なんでしょうか、令堂和咲さん」
ヴァイスは、涼やかな笑みをアサキへと向けた。
「アサキでいいよ。あんまり、フルネーム呼ばれたくないんだ」
「何故です?」
「音だと関係ないけど、漢字で書くと、お寺の和尚さんみたいだから」
それで小学生時代はよく男子にからかわれたのだ。
「分かりました。では、アサキさん。なんでしょうか」
「うん。名前を決め終えたから、次の質問をするね。ここは一体、どこなんですか? あなたたちは、こんな誰もいないところで、なにをしている……あ、ご、ごめんなさい、質問は一つずつといわれていたのに」
アサキがそう謝っているにも関わらず、
「妙チクリンな建物がたくさんあって、街みたくなっているけど、なんで他に誰もいねえんだよ! それとお前ら、生まれてずっと名前がないとか、やっぱり意味が分かんねえぞお! 嘘ついてんじゃねえのか」
「街に誰もおらんのでは、生活が出来んじゃろ? 食べ物、どうやって調達しとるの?」
結局、また質問攻めにしてしまうカズミたちであった。
乗っかって、ついアサキまでもう一つ質問をしてしまう。
「さっきの女の子……シュヴァルツ、ちゃん、彼女はどうして宇宙を壊そうとしているの?」
「敵にちゃん付けんじゃねえよ!」
「ご、ごめん、わたし、誰であれ呼び捨てって出来ないんだよ」
「情けねえやつだな」
「それだけで情けないって決めるのはおかしいでしょ」
「ほおら二人とも、無駄な争いはやめんか!」
治奈は二人をたしなめると、改めてブロンド髪白衣装の少女、ヴァイスへと向き直った。
「では、まずは質問を一つ。宇宙を壊す、ということは『新しい世界』とどう違うのか」
「それと、お前とシュヴァルツがおんなじ顔をしてんのも気になるぞお
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