第二十八章 わたしの名は、ヴァイス
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よりずっと早くから所属していたのに」
「うるせえな! 音痴! 貧乳! オシッコ漏らし! アホ毛ですぐ泣くクソ女! で、それがなんなんだよ!」
「いや、黒ってなんていうんだろって思って」
「黒は、シュヴァルツ」
ぼそりとした口調で答えたのは、白い衣装の少女である。
「博識じゃのう。うちらとさして年齢も変わらぬように見えよる……」
「よし! じゃあ黒のふわふわはシュヴァルツで決定!」
治奈が関心していると、その声をカズミの大声が吹き飛ばした。
「次、取り巻きの三人。シュヴァルツの、ちょっと老けて歪んだ劣化コピーみたいのはどうしよう」
「酷いいいようじゃのう」
「敵だぞ。殺され掛けたんだぞ。こっちは好きに名付ける権利くらいあるんだよ。こいつらも黒だから、じゃあ色とはまったく関係ない特徴から付けようぜ」
「特徴から名前を付けようにも、あの三人、まったく同じだったじゃろ?」
「探せばなんかあんだろ。一人は足が臭いとかさあ。訛ってるとかさあ。実はカツラとか、歌がド下手とか、ああそれはアサキか」
「彼女たち三人は、あなたが名付けたシュヴァルツの、コピーですから違いなどはありませんよ」
さも当然とばかりにさらりと白い衣装のブロンド髪少女はいうが、あまりにさらり過ぎて、
「えーーーっ!」
三人が驚きの声を発するまでに五、六秒は掛かっただろうか。
「れ、劣化コピーとかっ、冗談でいっただけなんだぞ!」
「クローン人間、とか、そ、そういうこと?」
アサキの問いに白い衣装の少女は、
「クローン? まあ、そのようなところです」
僅かに小首を傾げたものの、否定はせず、どちらかといえば肯定的な返答をした。
「そんじゃあ、ワンツースリーのドイツ語でいいよもう!」
「途端に投げやりじゃのう」
「だって、区別がないってんじゃさあ。で、ドイツ語ではなんていうんだ?」
カズミは白い衣装の少女を、ちょっと顔を上げてアゴで見るようにしながら尋ねた。
「アインス、ツヴァイ、ドライ。わたしは個体の区別が付きますから、もしも機会があれば目印を付けておきましょう。あなたたちの魔法の目ですぐ分かるように」
「おう。まあ出会わないに越したこたねえんだけどな。……で、残るお前が必然的に……白だから……」
「ヴァイス」
少女のその言葉に、アサキはちょっと不思議な気持ちになった。
何故なのか理由はすぐに分かった。
「それ確か、ヴァイスタの名前の由来だ」
白い悪霊、という言葉からの合成語と聞いた。
ガイストだかガイスタだかが幽霊で、そういや白はヴァイスだった気がする。
ヴァイスタ、白くぬめぬめとした、顔のない、巨大な悪霊。
この女の子と、姿はまったく似ても似つか
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