第二十八章 わたしの名は、ヴァイス
[12/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
にはすべて識別が出来ていますから。確かに、あなたたちには不便かも知れませんけれど、そもそも初めてですから、このようなことが」
「はああああ? なんだあ? 生まれてこの方、あの黒服の女ども以外と会ったのが初めてだってのかよ?」
「その通りです」
「ははっ、嘘ばっかり付いてやがるよ、こいつ。ガキみてえな顔して嘘つき女だ」
そうだろうか。
と、アサキは疑問に思っていた。
あまり表情の豊かではない、少女の顔であるが、少なくとも嘘を付いているようには見えなかった。
とはいえ、今の話も、かなり無理があるとは思うが。この地で数人の少女たちが、お互いの他には誰も知らず、生まれてからこれまでずっと暮らしてきたというのも
。
「ほいじゃあ、好きに名付けてもええじゃろか」
名前論議に治奈が参戦だ。
「必要ありません」
にべなく突っぱねられてしまったが。
「あたしらに必要なんだよ!」
「ほうよ、呼び名がなかったら、うちらが困るけえね。白いの黒いのってだけじゃあ。そもそもあっち黒いのにしても四人もおったじゃろうが」
「なら、勝手にして下さい」
白い衣装の少女は、ふっと小さく息を吐いた。
「よおし、じゃあ勝手にして、早速、命名会議開始だ!」
カズミが、けなされた不満もどこへやら、ベッドにあぐらをかいたまま右腕を突き上げた。
「大袈裟じゃのう」
「まずさあ、あの黒いやつらから決めてこうぜ」
「まあ、同じ色ばかり四人もおるけえのう」
何故か敵対関係になっている、四人の少女たち。
みな黒い服だ。
ふんわりゆったりの服を着た、幼い顔立ちの少女が一人。
ここにいるブロンド髪の少女と、服から顔から瓜二つで、ただ色違いといった感じの。
そして、革製にも見えるぴったりした黒服を着ているのが、三人。
この三人が、服だけでなく顔がまったく同じで紛らわしい。
ブロンド髪の少女を含め、せめて名前くらいは付けて整理したくなるのも当然というものだろう。
「最初に、ガキ顔のくせして威張ってた、ふわふわ黒服の女から決めるか。あいつ、お前とおんなじ顔してて、服も同じ感じだから、そこも区別が付くようにしたいけど……」
お前とは、白い衣装のブロンド髪少女のことである。椅子に腰を掛けている彼女のことを見ながら、
「着てる服が黒くて、髪の毛も真っ黒だったろ。いやまあ他の三人もそうだけど、とにかくそこから、なにかイメージ浮かばねえかな」
むむー、っと難しい顔で腕を組んだ。
「そういえばメンシュヴェルトって、その組織名も含めて命名は基本ドイツ語だよね」
不意にアサキが口を挟んだ。
「え、そうなの?」
「カズミちゃん、知らなかったの? わたし
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ