吠え猛る山
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を突き立てる。
友奈たちが死に物狂いでゴーヤベックの攻撃から退避しているとき、トレギアの声が聞こえてきた。
「マスター」
トレギアが森の奥の方を指差している。
苛立つように、アカネはトレギアを振り向いた。
「何!?」
「いたよ。あれ」
「あれ……っ!」
その時、アカネの目の色が変わる。
友奈には、彼女の視線の先……森の中で、何かが蠢く姿が。そして、茂が揺れる場面さえ見えた。
「ムーンキャンサー!」
その表情は鬼気迫るものだった。
さっきまでのやつれた顔とは真逆に目を輝かせ、そのまま、アカネが走っていく。
蠢いた何か。それが、彼女がこの山奥に来た目的に違いない。
追いかけようとした友奈だったが、その前に無数の落石が遮った。
下あごの影だけでも、友奈を覆いつくすほどの巨大さ。それが振動を繰り返せば、その体から無数の落石が落ちていく。
だが。
「友奈ちゃん! これ持って行って!」
『ガードベント』
龍騎が、その左手のドラグバイザーを鳴らす。
彼の手に、ドラグレッダーの胸を模した盾、ドラグシールドが握られる。龍騎は即座にドラグシールドを投げ、友奈の頭上に迫った落石を弾き飛ばした。
「た、助かった……ありがとう真司さん!」
友奈は落ちたドラグシールドを拾い上げ、傘のように頭上に当てる。
ドラグシールドの特別な防御力が、友奈への落石を次々と防いでいく。
だが、衝撃を殺しきれず、友奈は何度も後ずさる。
その最中、友奈の目が捉えた。
アンチが、落石の雨を掻い潜りながらアカネを追いかけていくのを。
「待って! アンチ君!」
友奈はドラグシールドを握る力を強めながらアンチの背中を追いかけだす。
落石が何度も友奈の頭、肩、足を打ち付ける。だが足を止めることなく、ただ。
気になる怪獣の少年の後に続いて、茂の中へ入っていった。
ゴーヤベックの落石を避けた龍騎は、友奈が消えていった茂を見つめた。
追いかけようとするが、ゴーヤベックの落石に足が止まる。頭上で口をゆっくりと開けるその姿を見て、龍騎はゴーヤベックを倒すことを優先しようと決意した。
巨体を見上げ、龍騎は改めて「っしゃあ!」と気合を入れる。
「さっさとやっちゃうぞ!」
龍騎はそう言って、腰のカードデッキからカードを引き抜いた。
カードデッキと同じ紋章が印されたそれを、龍騎はドラグバイザーに装填した。
『ファイナルベント』
だが、即座にゴーヤベックの体から無数の岩石が降り注いできた。
だが、赤い龍の体が、無数の岩石を流し、砕いていく。
無双龍ドラグレッダー。それは、柔軟な動きとともに、龍騎の周囲を旋回していく。
同時
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