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八条学園騒動記
第六百六十四話 連合軍への考えその五

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「追撃は仕掛けるがな」
「けれどそれはですか」
「違うのじゃ、戦士というものはな」
「見敵必殺ですか」
「敵は必ず倒すのがな」
 それがというのだ。
「正しい姿でな」
「連合軍はそれが駄目なんですね」
「張り合いがない」
 博士は自分の考えから述べた。
「退けばいいのではな」
「市民や領土を護ることに熱心で」
「それはな、それがじゃ」
「連合では普通でもですね」
「張り合いがない」
「博士って一般市民には一切攻撃しませんしね」
「何も抵抗せん者に何かする趣味はない」
 これが博士の考えだ、博士は二百億年の間無辜の民に手を出したことは一度もない。それは知的生命体でなくとも同じである。
「戦う軍人には向かうがな」
「そうですよね」
「そして軍人を殺す趣味もじゃ」
「ないですね」
「職業としてはな」
「外道は別ですね」
「ランツクネヒトは殺しておった」
 ドイツ人傭兵達であり派手で悪趣味な服装で有名だった。
「あの連中はな」
「三十年戦争でも暴れ回ってた」
「ローマも破壊した」
 サッコ=ディ=ローマである、長い進軍の中飢えと疲れの中にあった彼等がローマに入り暴虐の限りを尽くしたのだ。
「あの連中は外道であったからのう」
「核戦争後のモヒカンみたいだったとか」
「うむ、悪の限りを尽くしてな」
 博士もその通りだと答えた。
「実にじゃ」
「とんでもない連中だったそうですね」
「あいつ等は容赦なくな」
「殺していましたか」
「戦いは強いがな」
 このことには定評があった。
「しかしその振る舞いたるやじゃ」
「モイカンみたいで」
「実に非道な連中であった」
「だからですか」
「ああした連中は殺しておった」
「ソ連軍もですね」
「左様、外道な軍隊はヤクザ者と変わらん」
 博士は言い切った。
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