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レーヴァティン
第二百五十四話 両者の再会その十二

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「私腹はだ」
「肥やしてなかったわ」
「最後まで武士だったな」
 山縣有朋という人物はというのだ。
「まさに」
「ほんまにな」
「一介の武辺だった」
 本人が言う通りにというのだ。
「生き方はな」
「そやったな」
「常に槍の鍛錬をしてな」
「生活自体は質素でな」
「禁欲的でだ」
「学問もしていてな」
「武士だった」
 その人生はというのだ。
「そう言っていい」
「そやから汚職もな」
「いいことではないが」
 このことは事実でもというのだ。
「しかしだ」
「私腹を肥やしてへん」
「あくまで質素だった」
「何事もな」
「そして何を言われてもだ」
 書かれてもだ。
「抑えることもな」
「せんかったわ」
「当時の政治家は言われ放題でだ」
「書かれ放題やったわ」
 耕平も言った。
「昔からマスコミはマスコミでな」
「マスゴミとも言うな」
「その言葉通りでな」
「やりたい放題だったな」
「さっき言うた伊藤公もな」 
 彼もというのだ。
「事実無根な話もや」
「書かれていたな」
「それも滅茶苦茶よおさんな」
「そうだったな」
 その為マスコミ当時で言う文屋は好き勝手書くと言って怒っていたという、だからといって弾圧はしなかったがだ。
「誰でもな」
「もう伊上馨さんになるとな」
「気にしていなかったな」
「日本のマスコミに何言われてもな」
「海外での日本の評価を気にしていたな」
「そやったわ」
「自分のことなぞ放っておいてな」
 そうしてというのだ。
「そうだったな」
「そやったわ」
「まああれぜよ」
 当季は笑って話した。
「そんなことはあの人達にとってはぜよ」
「何でもなかったな」
「些事どころかのう」
「そうしたものだったな」
「だから放っておいたぜよ」
「何を書かれてもな」
「それは山縣公も同じで」
 その彼もというのだ。
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