第二十八話 心地よくない朝その二
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「お部屋の中でもよ」
「下着はまずいのね」
「脱衣場の中で着なさいよ、服」
「パジャマ洗濯機の中に入れたのよ」
一華は下着姿のまま自分のベッドの上に座って富美子に答えた。
「だからね」
「それでなの」
「今から着るから」
「早くそうしなさいよ、見ていてね」
自分のベッドの上で女の子座りでドライヤーを使う彼女にさらに言った。
「恥ずかしいわよ」
「女の子同士でも」
「そう、だからね」
「お部屋の中でも」
「早く着なさいよ、いいわね」
「髪の毛乾いたら着るわね」
「今すぐよ、じゃあかな恵と留奈が先に行ったから」
見れば二人は今部屋を出た。
「私ここにいるから」
「それじゃあね」
「ええ、シャワーでも浴びたら」
そうすればというのだ。
「かなりすっきりするしね」
「それじゃあね」
「お借りするわ、ただね」
「早く服着ろっていうのね」
「そうよ、ジャージ位はね」
「着ることね」
「私も言われるから」
富美子はむっとしてこうも言った。
「お家で下着姿だとね」
「富美子もなの」
「そう、お母さんとお姉ちゃんにね」
「二人から言われるの」
「そこは気を付けろってね」
服は着ろというのだ。
「いつも言われるのよ」
「裸族は許さないのね」
「うちの家だとね」
「それで私にも言うのね」
「というかおじさんに見られたくないでしょ」
「お父さんでもね」
それでもとだ、一華は富美子に答えた。
「それはね」
「そう、だからね」
「早く着ろっていうのね」
「いいわね、早くね」
「服を着てなの」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「見られても大丈夫な様にしてね」
「わかったわ、じゃあ乾かしてる最中だけれど」
一華はドライヤーを止めて富美子に答えた。
「服着るわ」
「そうしなさいね」
「朝早くでお父さん起きてないし大丈夫と思ったけれど」
「その大丈夫が問題なのよ」
富美子は真顔で答えた。
「見られないと思っていたら」
「そこでなのね」
「見られてるのよ」
そうしたものだというのだ。
「そうしたものよ」
「油断大敵ってこと」
「そうよ、それとね」
「それと?」
「壁に耳ありっていうでしょ」
「障子に目ありね」
「見られてるものよ」
見られることはないと思っていてもというのだ。
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