第五十九話 疑惑を自分でその六
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「絶対に友達に持ったら駄目ね」
「そうよね」
「そんなのだとね」
「もう友情とか持てないわね」
「間違いなく自分しかない人だから」
「というか私告白したことないけれど」
本当にない、咲はこのことも正直に話した。
「やっぱり振られたら痛いでしょ」
「それはね」
「かなり痛いわよ、私振られたことあるし」
「私だってそうよ、中学時代」
「私は小六の頃だったわ」
「私は塾でね」
咲以外のその場にいる面々が答えた。
「告白したら振られたわ」
「その時の絶望感って凄いわよ」
「御免って言われたわ私」
「私はもう付き合ってる人いるだったわ」
「好みじゃないって言われたわ」
「それぞれね、けれど痛いなら」
それならとだ、咲は経験があるクラスメイト達に言った。
「しない方がいいでしょ、何よりも振られる可能性高いなら」
「だからそれでもって思ってね」
「好きなら気持ちを伝えたいのよ」
「心の中に持ったままって辛いのよ」
「もう抑えきれないから」
「それで苦しいのよ」
「そうなの？告白しなくても苦しいの」
自分でもまたかと自覚しつつ首を傾げさせて言った。
「どっちにしても」
「そうなのよ」
「それが好きって気持ちでよ」
「もう苦しくて辛くてね」
「たまらなくてね」
「言わずにいられないの」
「絶対にわからないわ、そんなことしても」
咲はまた言った。
「受け入れてもらえればいいけれど」
「駄目だったら辛い」
「心が痛い」
「それはそうよ」
「けれどその時で終わるから」
「だからいいのよ」
「ずっと苦しむよりは遥かにね」
「そういうもの？何度聞いても理解出来ないわ」
これが咲の結論だった。
「どうしてもね」
「まあそう言うけれどね」
「咲っちも誰かを好きになればわかるわ」
「本当に辛いから」
「当たって砕けろともなるから」
「そう考える様になるから」
「そんなものなのね」
結局わからないまま咲はその話を聞いた、だが昼に昼食の後で学校の図書館に入ってそこで気になった本を読もうと思っていた。
それで実際に中に入って空いている席に着こうとすると目の前に漫画部の副部長がいた、それで思わず挨拶をしてから尋ねた。
「副長どうしてここに」
「実は武者小路実篤の本読んでいるの」
「あの純文学の」
「そう、恋愛小説だから」
武者小路実篤の作品はというのだ。
「それでね」
「読まれてるんですか」
「恋愛小説好きなの」
副部長は微笑んで話した。
「私はね」
「そうですか」
「それで今はこの人の作品を読んでいるの」
「そうなんですね、ただ」
ここで咲は副部長の向かい側の席に着いた、そうしてから午前中のクラスメイト達に言われたことを話した、すると。
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