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イベリス
第五十九話 疑惑を自分でその五

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「スーツも似合っててね」
「お顔立ちいいしね」
「まさにイケメンで」
「黒髪も奇麗で」
「ヘアスタイルもいけてるし」
「だったらね」
「あれでいいわね」  
 クラスメイト達も話した。
「ミステリアスで」
「あのままいって欲しい位よね」
「もう好きな人いるらしいけれど駄目元で告白したいわ」
「そうよね」
「玉砕上等でね」
「いや、断られるなら」
 咲は速水に話した。
「それならね」
「言わない方がいい」
「そうだって言うのね」
「むしろ」
「そうよね」
「そう、だからね」 
 咲はさらに言った。
「そんな風に思うなら」
「駄目だって思うなら」
「それがわかってるなら」
「もう最初から言わない」
「告白しないことなの」
「その方がよくない?可能性がないのなら」
 確実に断られるならというのだ。
「もうね」
「だから夢よ」
「夢を観たいのよ」
「要するにね」
「それで言うのよ」
「駄目元で」
「わからないわ」
 また首を傾げさせて言った。
「それが」
「まあそれは咲っちの考えね」
「そうした考えもあるわね」
「確かにね」
「けれどそれでもよ」
「夢を見たい場合もあって」
 クラスメイト達は咲に話した。
「当たって砕けろ」
「駄目で元々でね」
「告白するのよ」
「勇気を出してね」
「そうなのね、そんな考えもあるのね」
 咲はまた首を傾げさせて言った。
「恋愛には」
「まあ酷い振られ方もあるでしょうね」
「実は相手が最低でね」
「平気で人の心踏み躙ったりしてきたりとか」
「それが元で友達と縁切られたりとか」
「いや、振られて縁切られるってわからないし」 
 咲はそのことにも首を傾げさせた、ここで自分が今日は首を傾げさせてばかりだとも思った。そのうえでそうした。
「友達付き合いじゃないでしょ」
「まあそれはね」
「ごっこってことね」
「理由はどうあれそんなので縁切りとかね」
「最初から友達じゃなかったのよ」
「そうよね、振られても友達じゃない」
 咲は強い声と顔で言った。
「むしろフォローすべきでしょ」
「そうそう、失恋でダメージ受けた心をね」
「そうすべきよね」
「それが本当の友達よね」
「どう考えてもね」
「そんなことする人絶対に自分の都合で裏切るわね」
 咲は確信してこの言葉を出した。
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