第五十九話 疑惑を自分でその二
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「こうしたことはね」
「しないことだね」
「二度とね」
「殺されたくないからね。僕も」
「そうだったらね」
それこそというのだ。
「しないことよ」
「二度と」
「そうしてね」
「わかったよ、気をつけるよ」
「そういうことでね、しかしね」
咲は話が一段落してからまた言った。
「店長さんって画像でも美形ね」
「確かにね」
「こんなイケメン新宿のホストでもそうそういないんじゃないか?」
「あそこレベル高いと聞いてるけれど」
「あそこでもいないよな」
「俳優さんでもちょっといないな」
「陰のあるミステリアスな感じがいいよな」
男子生徒達も速水について口々に話した。
「正直いけてるな」
「そうだよな」
「本当にな」
「こんないけてる人が店長さんか」
「何やってる人なんだ」
「何って占い師よ」
咲は正直に答えた。
「タロット占いをされるのよ」
「えっ、占い師なんだ」
「この日とそうなんだ」
「ホストじゃなくて」
「そうなんだ」
「そうよ、とても落ち着いて紳士なのよ」
速水のことをこうも話した。
「決して声を荒くさせたり怒ったりされないわ」
「意外だな」
「そうした人ってことはいいけれどな」
「これで占い師か」
「全然見えないな」
「そうだよな」
「渋谷の109のビルにお店あるわよ」
店の場所の話もした。
「そこにね」
「ああ、あそこか」
「あの中にあるのか」
「それはまた凄いな」
「あんなとこにあったら場所代だけでもかなりだろ」
「お金かかるだろ」
「そこは何とかなってるみたいっていうか」
咲は場所のこと、賃貸のそれのことも答えた。
「お金には困ってないみたいね」
「だからあんなところにお店置けるか」
「お金には困ってないから」
「それでか」
「みたいね、それでね」
咲はさらに話した。
「お金持ちのお客さんも多いみたい」
「だからお金に困ってないか」
「そうしたお客さんも多くてか」
「政治家とか大企業のオーナーさんとかか」
「トップ女優とか大株主とかな」
「そんな人が来るんだろうな」
「みたいね、私はそうした人のことよくわからないけれど」
それでもとだ、咲は男子生徒達に話した。
「凄く来られるみたい、あと時々お店を開けられて」
「それでじゃ」
「そっちでもお仕事してるか」
「そうしてるんだな」
「そうみたい、それでそちらでもね」
咲は速水のそちらの仕事のことは知らない、だが知らないながらも仕事はしているとは察してそのうえで話した。
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