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ドリトル先生のダイヤモンド婚式 
第二幕その十

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「僕はそう思っているからね」
「偉いと思わないで」
「謙虚と言われるなら」
 それならというのです。
「そうかもね」
「仏様みたいに」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
 実際にというのです。
「本当にね」
「そうですか」
「そしてその顔相がそこまでいいからなんだ」
「確かな人はその人の人相を見ますからね」
「お顔でもなんだ」
「もてますよ」
 そうだというのです。
「本当に」
「ずっと顔はよくないと思っていたけれどね」
「はい、ただ」
「ただ?」
「人間自分のよくないことを知る、自覚することもいいんですね」
 トミーは先生を見て思いました。
「それで謙虚になれるなら」
「まあ誰だってコンプレックスはあるね」
「そうですね」
「コンプレックスは克服すればいいし」
 その様に努力すればというのです。
「自分も高められるし。それにね」
「それにですか」
「それが実際に心のストッパーになるなら」
 尊大にならない要素になるならというのです。
「いいかもね」
「コンプレックスも考え様ですね」
「そうだね」
「そういえばね」 
 ここでダブダブが言いました、皆当然今も先生と一緒にいます。
「あのカエサルさんもコンプレックスあったね」
「あの人は髪の毛だったわね」 
 ポリネシアが応えました。
「薄かったのよね」
「それでそのことを気にしていて」
 老馬も言います。
「コンプレックスだったね」
「それが仇名にもなっていて」
 ガブガブはこうも言いました。
「女性が好きだったことも言われていたわね」
「それを部下の兵隊さん達に言われてね」
 トートーはこのお話をしました。
「嫌なお顔したそうね」
「兵隊さん達も悪いジョークを言ったね」
 ホワイティはこの人達のことを思いました。
「どうも」
「それでもカエサルさん怒らなかったそうだね」
 ジップはその時のカエサルさんのお話をしました。
「コンプレックスで気にしていたことでも」
「そのことは凄いね」
 チーチーは素直に褒めました。
「器が大きいね」
「凄く気にしていたらしいからね」
「あの人髪の毛のことを」
 チープサイドの家族もお話をします。
「それを言われても嫌な顔をしても怒らない」
「そのことは立派だよ」
「敵とは徹底的に戦うけれど降伏したら許したそうだし」
「寛大な人だったんだね」 
 オシツオサレツはしみじみと言いました。
「残酷でもなかったそうだし」
「やっぱり英雄だね」
「僕もそう思うよ、コンプレックスはあっても」
 それでもというのです。
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