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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第71話 アスベルン星系遭遇戦 その2
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中央部隊の中間ポイント」
「砲撃。方位〇九三〇、仰角〇.八、距離〇.〇〇五光秒」
「ジュニア」
「は、はい」
「翻訳してファイフェルに指示せよ」
「翻訳……」

 爺様の指示は帝国語に翻訳しろ、ということではない。モンシャルマン参謀長の回答はあくまで『砲撃シミュレーション』の座標だ……それはつまり

「右翼第三五一へ。ポイント、Xマイナス四.八五、Yプラス〇.一二、Zプラス〇.〇〇四に集中砲火、斉射三連」
「……戦艦アローランドへ砲撃指示通信。ポイント、Xマイナス四.八五、Yプラス一.二、Zプラス〇.〇〇四に集中砲火、斉射三連せよ」

 俺の回答を、ファイフェルがマイクで司令部オペレーターへ、そして第三五一独立機動部隊旗艦である戦艦アローランドへ。三〇秒後、第三五一独立機動部隊全艦からの砲撃が三回、中央部隊との境界中間宙点に向かって光が伸び……敵右翼部隊の左翼の十数隻を纏めて吹き飛ばした。

「敵中央部隊の右翼第T部隊の鼻面中央点」
「ミサイル、方位一〇三五、仰角〇、距離〇.〇〇二」
「……第四四−二へ、ポイントXマイナス二.三八、Yプラス一.一、Zプラマイ〇。中性子ミサイル一斉射、着発」
「戦艦マラヴィスカへ攻撃指示通信、ポイントXマイナス二.三八、Yプラス一.一、Zプラマイ〇へ、全艦中性子ミサイル一斉射、宙点着発、撃ち方はじめ」

 今度は第四四高速機動集団左翼、ジョン=プロウライト准将の第二部隊から、正面敵中央部隊の右翼に位置する一番動きの遅い小部隊の真正面に中性子ミサイルが叩きつけられる。目標宙点に到着した中性子ミサイルは艦に当たらなくとも自爆するので、その衝撃破片とエネルギーが小部隊の前衛を揺るがし戦列が乱れる。

「同ポイントより奥一、四四−一、集中砲撃」
「砲撃。方位一一〇三、仰角〇、距離〇.〇〇二五」
「直卒部隊、ポイントXマイナス二.三八、Yプラス一.三、Zプラマイ〇。集中砲火。斉射三連」
「四四高速機動集団第一部隊全艦へ攻撃指示。ポイントXマイナス二.三八、Yプラス一.三、Zプラマイ〇に集中砲火。斉射三連せよ」

 さらに直卒部隊が傷口を広げるために前衛とその後ろの戦列に向けて砲撃。これで敵の右翼部隊と中央部隊の間に楔状の隙間ができた。

「司令官閣下」
「プロウライトに突っ込ませろ。第四〇九、右後退。後ろへ二」
「四四−二、ポイントXマイナス一.五、Yプラス〇.三、Zプラマイ〇。戦闘前進、陣形左斜陣へ。四〇九、ポイントXプラス四.三、Yマイナス〇.二、Zプラマイ〇。後進微速、陣形右斜陣」

 楔に空いた隙間にプロウライト准将の第二部隊が乗り込みさらに傷口を広げる。それに応じるように第四〇九広域巡察部隊が右後方へ向けて後進し、空いた空間にフラストレーションが溜まっている敵の左
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