第7次イゼルローン要塞攻防戦A
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」
そして帝国軍駐留艦隊が回頭を完了した時、その正面には同盟軍の第四艦隊が迫っていた。
「ばかな……こんなことが……」
ゼークトの口から呆然とした呟きが漏れた。彼は帝国軍の誇る強大な戦力によって同盟軍を粉砕できると信じていた。だが、現実は彼の予想をはるかに上回る結果となっていた。帝国軍の目の前には同盟第四艦隊の無数の艦艇が存在していた。帝国軍の艦艇はどれも損傷を受けており、すでに満身創痍と言っていい状態だった。
「閣下、ここは撤退すべきです。このままでは全滅してしまいます」
「バカなことを言うな、我が艦隊が負けるなどあるわけがない」
ゼークトはそう言うと艦隊に転進完了次第前進するように命じた。だが、それはあまりに遅すぎた。すでに帝国軍の背後から右側に回り込んだ同盟軍第四艦隊は帝国軍に向けて容赦ない攻撃を加えている。帝国軍艦艇は同盟軍の攻撃に耐えられず、次々と撃破されていく。そして帝国軍は帝国軍で必死に反撃を試みるのだが、同盟軍は巧みに位置取りを変えて、距離を取りつつ帝国艦隊からの攻撃を受け流すと、前進し逆に帝国軍に致命的な損害を与えていく。帝国軍イゼルローン要塞駐留艦隊は、既に艦隊の四割近い損害を受けていた。
帝国軍の司令官ゼークト大将はこの戦況を見て焦りを覚え始めていた。
(このままではまずい。何とかせねば……)
そこへオペレーターが報告してきた。
「閣下、要塞より緊急通信です!!」
「何だ!?」
「そ、それが…。兵士の叛乱が発生したため救援を要請すると先程から繰り返しております」
「なんだと!?」
ゼークトは驚愕の声を上げた。
「馬鹿な、どういうことなのだ!?」
「分かりません。ですが、要塞内部で反乱が発生しているのは事実のようです」
「いったい何が起こっているというのだ!?」
「分かりません」
ゼークトは苦々しげな表情を浮かべた。
「仕方があるまい、全艦後退せよ」
「しかし、それでは敵に背中を見せることになります」
「かまわん、とにかく今は後退して態勢を立て直すのだ」
そして、帝国軍は後退を開始した。それは自由惑星同盟軍も確認していた。
「帝国艦隊、後退を開始しました」
「よし、こちらも一度後退して態勢を立て直すぞ」
「閣下、追撃しなくてよろしいのですか?」
ビューフォートの質問にクロパチェクはニヤリとした笑みで答えた。
「なに、我々の目的はあくまで要塞駐留艦隊を第十三艦隊の要塞制圧作戦終了まで引き付けておくことだ。帝国軍が後退したところでまた食らいつけばいいだけだ」
「なるほど、それもそうですな」
「それに、どちらにせよ帝国軍はもう帰る場所もないのだしな…」
クロパチェクの言葉通り、帝国軍は既に退くべき本拠地を失っ
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