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銀河を漂うタンザナイト
第7次イゼルローン要塞攻防戦A
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数時間後、ダゴン星系に到着した要塞駐留艦隊だが、その索敵は困難を極めていた。帝国艦隊は無数の小惑星や異常重力帯の間を縫うようにして移動しながら敵を探し求めていた。

「まだ見つからんのか?」

ゼークトは焦れた表情でそう言ったが、すぐにこの星系の特性を思い返して苦い顔をする。

(確かこの宙域には無数の小惑星と、それにまぎれて隠れられる質量のある物体が存在している。我が艦隊の索敵能力をもってしても発見が困難になるだろう……)

ゼークトがそう考えたとき、索敵オペレーターの一人が報告の声を上げた。

「敵部隊と思われる熱源反応あり!!前方11時の方向、距離2光秒の小惑星帯に敵集団確認!!数およそ2000」
「よし、射程距離に入り次第攻撃開始!!」
「了解!!」
「敵艦隊、すでに射程圏内です」
「よし、ファイエル!!」

報告と同時に命令が下され、帝国軍の砲撃が開始される。帝国艦隊からビームが放たれた直後に、小惑星帯側からすれ違いにいくつものビームが帝国軍に襲いかかった。

「敵艦隊発砲!」
「ひるむな、このまま前進して一挙に押し潰すのだ?」

次々と砲撃を行う帝国軍の攻勢は勢いを増していくかに見えた。が・・・、

「何をしている!?数の上では此方が有利なのだぞ!!」
「お言葉ですが閣下、敵艦隊は小惑星帯を盾にしており、なかなか有効打を与えられません」

副官の訴えを聞きながら、ゼークトは舌打ちしたい気分だった。

(これでは砲撃が通らずに此方が一方的に撃たれる。このままではまずい……)

「閣下、ここはいったん後退しましょう。数で劣る敵も深追いはしないはずです」
「くそ、やむをえん。一度態勢を立て直す、各艦後退!!」

ゼークトは戦術スクリーンに映る敵艦隊の光点を見つめながら命令を下した。そして、全艦に撤退命令を通達するよう副官に命じた。その直後、突然前方で爆発が起こる。

「何事か!?」
「な、これは熱反応式機雷です、わ、我が艦隊は敵の機雷原に入り込んだ模様!!」
「馬鹿な、なぜもっと早く気づかなかったのだ!?」
「申し訳ありません、どうやら先ほどの戦闘で損傷した艦艇が気づかずに接近していたらしく…」
「ええい、言い訳など聞きたくない。とにかく一度後退するのだ!!」
「はっ、直ちに」

こうして駐留艦隊は機雷原から抜け出すべく後退を試みたが

「敵艦隊が囮に引っ掛かりました!!」
「敵艦隊機雷原を察知した模様、後退を開始しました」
「司令官閣下、敵艦隊が後退を開始しました」
「そうか…。よし、この機を逃すな、全艦砲撃開始」

そこに突如として、帝国軍駐留艦隊の後背下側から自由惑星同盟軍第四艦隊の砲火が駐留艦隊の艦艇の下腹を、自らの中性子ビームで突き上げる。


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