始業式を告げる鐘
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なきゃ治らないわねーと思いながら、密かに表示枠の点蔵の所に治療無用、情け無用と書いておき───そして、たんと軽い音で階段を飛んだ。
あ……! と叫ぶ者も言えば、くっ……! と叫ぶ者もいる。中にはカレーですねーという人間がいるが、そこは気にしても、もう脳が意味はないでしょうねーと結論付ける。
それでも、悔しがっているのならば、それでいい。悔しいと思う気持ちを持っているのならば、次回の時は、今度こそはと思えるものなのだから。
だから、訓練で思いっきり、悔しい思いをして、本番で成功させろと思う。
そして、そのまま階段の下から、奥多摩中央通の”後悔通り”を走る。
後悔通りの入口。
普通に走ろうと思っていたが、視線はついそっちに向いてしまった。
そこには石碑がある。記されている言葉は短く、だからこそ、覚えようとしていなくても、勝手に心に覚えてしまう。
───一六三八年 少女 ホライゾン・Aの冥福を祈って 武蔵住人一同
「……」
漏れた吐息に重さがある事に苦笑してしまう。
自分が考える事ではない事であったとしても考えてしまうのは人間だからか、もしくはただの未熟からかと考えてしまうのは、ただ己に浸っているだけなのだろうか。
結論はそう思う事こそが己に浸っているという事だろうと再び苦笑。
苦笑している間に背後から声が聞こえる。あの子らとの付き合いも長いもんねと思うけど、悪い思いはしない。
出来が悪くても、悪くなくても、それだけ長くいればどんな子でも愛着を持ってしまうから。
だからこそ、頑張れと思う。
何度も叩きのめされても、意志さえあれば再起は出来るのだと、それを知ってほしいと思う。
だから、苦笑を微を付ける笑いに変えて、走り続ける。
後ろから来る期待を楽しみながら。
「賑やかだねぇ……」
「Jud.騒がしい事を賑やかと判断するのならば、確かに賑やかだと判断できます───以上」
場所は中央前艦の展望台となっている付近。そこに、武蔵と腕章に書いてある少女と中年過ぎの男が会話していた。
中年過ぎの男の名は酒井忠次。
アリアダスト教導院の学長をやっている男で、既に、もう老いているというイメージがあるかもしれないが、その実、体全体が老いているという感じがしないので、ある意味要注意人物かと思われる人物である。
もう一人の少女はその名の通りの武蔵と言われる───自動人形である。
人ではなく、歯車を持って動く自動人形。現に、その傍には持ち手がいないデッキブラシが勝手に動いて、周りを掃除している。
自動人形の特性である重力操作を使っての掃除である。
だけど、そんな光景を二人は無視して眼下の騒ぎを見ている。
弓を持った少女の攻撃が、先生に無効化されて、何故か少女が「───アイスが!」とか叫んで
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