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イベリス
第五十八話 東京の紫陽花その十

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「その様に」
「多少嫌な気分を味わうだけですか」
「そうです、ただ最悪の事態はです」
「避けられたんですね」
「大難は小難になったかと」
「それだけでも違いますよね」
「そうです、怪我をするにしても骨折と打ち身では違いますね」
「中一の頃左手を骨折して大変でした」 
 咲はこの時のことを話した。
「本当に」
「それではおわかりですね」
「打ち身位だと全然いいです」
「そういうことです、ですから今夜はです」
「最悪の事態は避けられたんですね」
「そうかと。そして彼ですが」
 その悪名高い都議会議員の話もした。
「占うまでもありません、やがて破滅します」
「そうなりますか」
「私も彼の評判は聞いています」
「汚職に女性問題ですね」
「過激派とも関係があります」
「真っ黒な人ですわ」
「噂はほぼ全て真実で」
 そしてというのだ。
「他にも多くの悪事をしてきています」
「噂も事実ですか」
「この仕事をしていると聞く機会もありますが」
「全部事実なんですね」
「はい」 
 まさにというのだ。
「そして警察もマークしていてあれでガードが全く駄目なので」
「脇が甘いですか」
「甘いどころではなく」
 速水は咲に話した。
「全くと申し上げた通りに」
「何もしていないですか」
「ですから悪い噂もです」
 これもというのだ。
「絶えないのです」
「ガードが全然駄目なので」
「失言も多いので」 
 こちらの問題もあるというのだ。
「人間性を疑う様な」
「そう言えばそれでも有名ですね」
「そうですね」
「そうしたことを見てですか」
「私は言います」
 その都議会議員のことをというのだ。
「その様に」
「ガードが全く駄目だと」
「はい、そして」
 それでというのだ。
「もう警察にもです」
「マークされてるんですね」
「告発する人も出ようとしていますし」
「じゃあもうすぐですか」
「破滅します」
 速水は断言した。
「もう占う以前です」
「明らかですか」
「さながらマッチをすったら火が点く様なものです」
「確実ですか」
「はい」
 まさにというのだ。
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