第7次イゼルローン要塞攻防戦@
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静かに聞いている。
「そのための準備に関してはすでに整っていると思うが、諸君らの口からそれを確かめさせて貰いたい。もし何か想定外のことが起きた時になって、ああ、そんな事も忘れていましたでは済まされないからな」
そこでクロパチェクはもう一度言葉を切り、幕僚たちの顔を順番に見渡した。
「よし、 ではまず敵艦隊の侵攻ルートを確認しよう」
彼はそう言うと、メインスクリーンに敵艦隊の予想進路を表示させた。
「これが我々が立てた敵艦隊の侵攻予測コースである。この通り進んでくれればよいのだが…、そううまくいけば苦労はしないがな」
「閣下」
幕僚の一人が手を上げた。灰色の頭髪に鼻から下に同じ色の派手な髭に覆われた60代前後の巨漢の軍人が立ち上がる。艦隊副司令官ラルフ・カールセン准将である。
「何か?」
「は、現在の機雷散布状況についてですが、要塞駐留艦隊に気付かれはしないでしょうか?」
「それについては心配ない。奴らが機雷原に突入する前に、我々は連中に横合いから砲撃を仕掛け、機雷原に押し込む」
「なるほど、機雷原に敵を閉じ込めてしまうわけですか」
「そうだ。そして、機雷原に閉じこめられた敵は散布された機雷にやられるか、あるいは……」
「我が艦隊に攻撃されて、という事になりますな」
「そのとおりだ。機雷原に閉じこめるのはあくまでも時間稼ぎの為だからな。別に無理して全滅させる必要はない。とにかく、第十三艦隊がイゼルローンを占領すればいいのだから、それさえ果たされれば敵を逃がしても構わんわけだ」
「はっ、了解いたしました」
「他に質問のある者は?」
クロパチェクの問いに対し、今度は別の幕僚が挙手をした。
「何だ? 言ってみてくれ」
「はっ、ここダゴン星系は航行の難所として知られており、しかも恒星の位置の関係で常に以上重力帯や電磁波が発生する事から、索敵や航行に関して困難を極めると聞き及んでおります。このような所で敵を迎え撃つのはいかがなものでしょう?」
「ふむ、確かにここは厄介な場所らしいな。だが、だからこそ敵に付け入る隙を与えず、またこちらが有利になる条件がそろっていると言えるのだ」
「有利な条件ですと?」
「どういう意味でしょうか」
幕僚たちが口々に疑問の声を上げる中、クロパチュクは言った。
「ダゴン星系が危険な場所であることは確かだが、同時に帝国にとってもそれは同様なのだ。そしてイゼルローン要塞側からこの星系内に侵入するには、このルートを必ず通る必要がある」
そう言うと彼は手元のコンソールを操作する。すると帝国軍の予想進軍ルートが消えて、代わりにダゴン星系の立体図が表示された。
「この星系には大小無数の小惑星と重力帯等が無数に存在する。それらの間を縫うようにして航行するの
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