第7次イゼルローン要塞攻防戦@
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ーベルシュタインは表面的には気にしていないかのように、これは駐留艦隊を要塞から引き離すための罠であると述べるも、オーベルシュタインに対する反感や皮肉っぽく事態を見守るシュトックハウゼンの手前もあった。それにゼークト自身敵を見ると戦わずにはいられないという猛将タイプ的な血気盛んな性格をしていたから、結局は出撃する事になってしまったのだった。
それから1時間後、要塞司令官室から駐留艦隊15000隻が出港するのを見ていたシュトックハウゼンはこうつぶやいた。
「ふん、痛い目にあって帰ってくるがいい…」
間違っても死んでしまえや、負けてしまえ、などとは冗談でも言えない。それはイゼルローン要塞司令官としての誇りや、彼個人の節度、帝国軍人としての義務感が許さなかったからだ。
一方そのころ…
イゼルローン回廊内 ダゴン星系
自由惑星同盟軍第四艦隊は回廊内に進入し、事前の打ち合わせに基づいて第十三艦隊が要塞を、第四艦隊が駐留艦隊を相手にするため決戦場と定めたダゴン星系内でデコイ並びに機雷の敷設を行っていた。
旗艦であるアイアース級戦艦オケアノスの艦橋ではクロパチェクが戦況モニターを眺めていた。そこには現在作業中の各艦艇と作業の進行状況をしめすデータが映っていた。
「今のところは順調だな」
満足げにうなずくと彼は傍らに立つ副官であるイェゴール・ユスーポフ中尉に声をかけた。
「敵艦隊の動向はどうか?」
「はっ、偵察部隊からの通信によると要塞駐留艦隊は先ほど要塞を出港したとの事です」
「ふむ、やはり動いたな。よし、作業を急がせろ。それと敵の出方によっては作業を中断する可能性がある。準備だけは怠るなよ」
「了解しました!」
そう言うとユスーポフは通信コンソールの前に座った。それを見るとクロパチェクは再び戦況モニターを見た。そこに映し出されているのは帝国軍の予想航路だった。要塞を出た彼らはまっすぐこちらに向かってくるだろう。だが問題はその後である。帝国軍がどう動くかによって作戦の成否が決まると言ってもいいくらいなのだ。
「ユスーポフ中尉、最後の確認を行いたいので艦隊の幕僚を招集してほしい」
「わかりました」
そういうとユスーポフは艦内放送で艦隊の幕僚を呼び出したのである。
「これで全員そろいました」
イェゴール・ユスーポフ中尉の報告に、クロパチェクは満足そうにうなずくと、次の瞬間に顔を引き締めた。
「さて、あー、諸君らを呼んだのはほかでもない。我々の任務についての最終の確認を行う為である。我が艦隊の任務は第十三艦隊によるイゼルローン要塞制圧が完了するまで敵艦隊を引き付けることにある。その事は皆承知していると思うが……」
ここで一度言葉を切ったが、幕僚たちは特に異論を唱えようともせず
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