第7次イゼルローン要塞攻防戦@
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璧と言っていいほどの施設を揃えていたのだった。
そしてそんなイゼルローン要塞には二人の帝国軍大将がいる。一人は要塞司令官のトーマ・フォン・シュトックハウゼン大将。もう一人が要塞駐留艦隊司令官ハンス・ディートリヒ・フォン・ゼークト大将である。お互い50代で長身というのも共通しているが、ゼークトの胴囲はシュトックハウゼンのそれより一回り大きい。両者の仲はお世辞にも親密とはいいがたかったが、これは個人的な関係が原因ではなくこの要塞では伝統的なものだった。なにせ同じ職場に同じ階級の人間が二人もいるのである。角突き合わせない方がおかしいので当然、仕事がスムーズに行くわけがない。
この対立は司令官だけではなく配下の将兵たちにも及んでいた。要塞側は艦隊を"ドラ息子"呼ばわりして軽蔑し、艦隊側は"モグラ"と言ってバカにする始末である。この両者の対立がなんとか一線を越えずに済んでいるのはひとえに絶対無敗の要塞を支えているという戦士としての双方の誇りと、"不貞なる叛徒ども"に対する敵愾心であった。
帝国標準歴5月14日 イゼルローン要塞 会見室
ゼークトとシュトックハウゼンの両者はお互いの指令室から均等の位置にある会見室にいた。ここ二日で要塞周辺の通信妨害が著しく敵が近づいているのは間違いないとの事でその対策を練るための会見だったが、その内容は必ずしも建設的とはいいがたかった。敵がいるのは明白であるから打って出るというゼークトの積極的な発言に対し、シュトックハウゼンは敵がどこにいるかわからないから位置が判明するまで待つべきだというとを嫌味を交えながら話していた。そんな中、扉が開かれて若い通信士官が入ってきた。彼は敬礼すると、報告した。
曰く帝都オーディンから1隻のブレーメン級巡航艦が重要な連絡情報を携えて出港したが、回廊内で叛徒どもの攻撃を受け現在逃げ惑っており、救援を要請してきたというのだ。
「何だと?」
「何たることだ!!」
二人は驚きのあまり同時に叫んだが、それも無理はなかった。帝国側から来たはずの巡航艦が敵艦隊の攻撃を受けている。つまるところそれは敵が自分達イゼルローンをやり過ごして回廊を通過したという事に他ならなかった。少なくとも二人はそう考えたのである。
「回廊内のどこかはわからんがこれでは出撃せざるをえぬ」
「大丈夫なのか、それは?」
シュトックハウゼンは眉間に深い縦じわを刻み込み、ゼークトに尋ねた。しかしゼークトは問題ないと言わんばかりに1時間後に総力を挙げて出撃すると告げたが
「お待ちください閣下」
彼の決意に水を差すような陰気な声が挟まれる。
「…オーベルシュタイン大佐か」
ゼークトのその声には一片の好意は見いだせなかった。
「何か意見でもあるのか?」
彼の質問に対しオ
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