第二章「クルセイド編」
第十九話「少年の強さ」
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「……ははっ」
知らず知らずの内に口からは笑いが漏れていた。そうだ。答えはあったのだ。こんなに近くに。一時期だけリオンが住んでいた土地には『灯台下暗し』と言う諺があると言うことだがこれ以上にこの言葉が当てはまる状況はあるだろうか。
「はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!」
「坊ちゃん?」
自らの主の様子に違和感を感じたシャルティエはそう言った。未だ気がつかない彼にリオンは少しだけ不満を感じるがリオン以上に晶術に浸かってしまっている彼にそれを言うのも少し酷かと思い直してリオンは開いている右手を思いっきり振り上げた。
それは殺人を犯す者がナイフを心臓に突き刺そうとしているようにも見えた。
リオンには魔法の知識はない。回復魔法などと言うものも存在するらしいがそんな物使うことは愚か見たことすらない。見よう見まねでフェイトやエレギオがやっている様に術式を編み出し始めた。
「坊ちゃん!? まさか――――――」
「喜べフェイト」
相棒の声にも答えずに術式を『ヒール』の光めがけて振り下ろした。
「お前は世界で初めてこの術を身で味わう事になるんだぁぁぁああああああああああああああ!!!!!!!!」
晶術と言う法則性に魔法と言う異なる法則性が流れ込む。
白く光る『ヒール』の光にその紫の魔力光が合わさって、さながら化学反応の様に劇的な変化を始める。
血よりも赤く光ったかと思うと、森よりも緑色に輝き、海の如く青く眩いたと思うと、土よりも茶色く染まる。
千差万別、この世界でさえその交わって捻り狂う未知の法則を受け入れられないかのように変化する。
最終的には黒く、それでいて『ヒール』の白い光よりも遥かに眩く輝いてリオンの手には到底収まりきらず拡散する。
「回生の光は陽光よりも眩く、夜の闇よりも尚暗く」
そしてリオンの双眸が開いた。
「アポカリプスノクターン!!!!」
魔法と晶術。異なる力二つを組み合わせた術。さしずめ『魔晶術』とでも言うべき力。
この日、リオン・マグナスは覚醒した。
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