第二章「クルセイド編」
第十九話「少年の強さ」
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話でそう返す。その間にエレギオはなにやら金属製の筒のようなものを懐から取り出してドラゴンソウルにはめていた。カチャンと無機質な音がやけに高い。
「(なら並列思考は?)」
「(一々答える必要性を感じないな)」
「(OK、ならここからは念話で頼む……行くぞ!)」
−−−−−−−−
そこには既に地獄のような光景が広がっていた。見渡す限り黒いローブの男が血塗れで倒れている。当然息はない。中には巨大なバーナーで一気に焼かれたような有様の者まで存在する。周りは森だったのだろうか木が生えていた形跡が見えたがその殆どが炭になってしまった違いない。或いは根元から薙ぎ倒されたか。
「(これは…………)」
「(ヒデェな……おいリオン)」
「(なんだ?)」
「(こんだけ派手な事になってるんだ、当然管理局の連中も反管の連中も嗅ぎ当ててくる)」
エレギオは19歳。世に知れた大悪党ではあるがそれでも世を知っている年とはいえない。だがそれでも仲間を傷つけられる気持ちは分かる。今のリオンは謎の襲撃者たる一連の犯人をどう八つ裂きにしようか考えていたのだろう。だがそれをする時間は決してない。
「(あの娘見つけたら直ぐにずらかるからな)」
「(……わかった)」
やや間があったがしっかりと念話でそう返した。エレギオは満足気に頷いて
「(行くぞ。足元気をつけろよ。燃える枝踏んだらアッチッチだ)」
火の海という言い方が決して大袈裟ではなくなってしまっている今、管理局や反管云々を省いたとしても長居はフェイトだけでなく彼らの命にも関わる。火の少ないところを天上眼で探して歩いても。肺が焼けるような感触に二人揃って顔をしかめた。とても口で喋ることなどできそうもない。念話出なければ会話した瞬間に熱とガスで激しくむせることになるだろう。
「(………………………………ん?)」
「(気付いたかリオン。そうだ敵がいねえ、一人も)」
エレギオの天上眼程ではないがリオンも人の気配には敏感だ。だが彼の探知能力をもってしても先程エレギオが「うじゃうじゃいる」と言った敵の気配はない。一人もない。訝ってエレギオを見ると彼も頷いた。
「(貴様の眼には本当に反応があったのか?)」
「(あった。誓ってもいい)」
まるで幻術か隠行でも使ったのかの様な気配の消し方だった。だがエレギオには断言できる。その様な物の類ではないと。そんな物では決してエレギオの眼を欺く事はできない。仮にその術士がどれほど熟達した使い手であったとしても。実力云々の問題でも慢心でも無く単純な話、エレギオの天上眼とはそう言う能力なのだ。
「(でも確かに今は消えてるけどな)」
「(……随分と貴様
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