第五十八話 東京の紫陽花その六
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「そして観ます」
「お花をですか」
「そうです、そして今はです」
「紫陽花ですか」
「それと百合に菖蒲、それと菫ですね」
こういった花達もというのだ、速水は咲を観つつその心の中に花様々なそれを出しつつ話をしていった。
「梅雨は」
「多いですね、梅雨のお花は」
「そして水辺のお花が多いですね」
「そうですね、紫陽花って雨のイメージが強くて」
咲は雨の中に咲く様々な色の紫陽花を思い浮かべた緑の葉には蝸牛達がいてただそこにたたずんでいる風だ。
「百合とかはお池の傍に咲いていますね」
「そうですね」
「それが絵になりますね」
「そうしたお花も好きでして」
「だから紫陽花も飾って」
「他のお花も頂くか買ってです」
その様にしてというのだ。
「お店に飾ります」
「そうされるんですね」
「そうです、そして夏もです」
「朝顔ですか」
「それを飾ります、ただ八月は」
ここで速水は少し残念そうに語った。
「私は八月は向日葵が一番好きですが」
「向日葵は大きくて」
「そうです、ですから」
その為にとだ、咲にその顔で話した。
「お店には飾りにくいですね」
「人の背丈より大きくなりますからね」
それだけ大きいからだというのだ、茎の丈が。
「ですから」
「向日葵はですか」
「そこが残念です、ですから他のお花を飾りまして」
夏はそうしてというのだ。
「向日葵は観に行きます」
「そうされるんですね」
「そうしています。そして今度菩提樹を観て」
「菩提樹って木ですよね」
「そのお花も好きなので」
だからだというのだ。
「楽しみたいです」
「菩提樹ですか。何か」
咲は菩提樹と聞いて話した。
「お釈迦様思い出しました」
「そうですね、釈尊が入滅したのはその木の下ですから」
「だからですね」
「思い出すことも当然です」
釈尊をというのだ。
「私もですから」
「仏教のお花って感じしますね」
「そうですね、その菩提樹もです」
「ご覧になられたいですか」
「そう考えています」
「本当に色々なお花が好きなんですね」
「自覚しています。お花を観ていますと心も和らぎますし」
そうもなるというのだ。
「ですから」
「お花をご覧になられますか」
「そうしています、いつも」
「わかりました。私もお花は好きですが」
それでもとだ、咲は速水に話した。
「店長さん程ではないです」
「そうなのですか」
「自覚しています」
その様にというのだ。
「店長さんはかなりですね」
「そうですね。ですから平安神宮も好きです」
「京都にある」
「あちらは様々なお花がありますので」
そうした場所である、和歌と花によって彩られている実に雅と華を感じさせる場所であるの
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