第五十八話 東京の紫陽花その三
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「食べるのよ」
「そういえば香りがいいですね」
「そのこともあってね」
「食べられるんですね」
「ローマ帝国の頃なんかよく食べたそうよ」
この国はというのだ。
「薔薇の花びらが入ったサラダとか薔薇のプティングとか薔薇の花びらを入れたお水とかワインとかもあったのよ」
「何でも薔薇ですね」
「そう、薔薇はね」
まさにというのだ。
「ローマ帝国ではね」
「よく食べられていたんですね」
「そう、それでね」
「店長さんもですか」
「お好きらしいわ」
「薔薇の花びらをですか」
「そうなのよ。菊だって食べられるわね」
今度はこの花の話をしてきた。
「そうでしょ」
「お刺身についてますね」
「よくあるでしょ」
「そうですね」
「あとタンポポもね」
「それは聞いたことがあります」
タンポポのことはとだ、咲は答えた。
「アラスカとかでもですね」
「食べられていたのよ」
「ビタミン採れるんですね」
「そうよ、だからね」
その為にというのだ。
「今小山さんアラスカのお話したけれど」
「ああしたところで、ですよね」
「よく食べられていたのよ」
「寒くてお野菜がなくて」
「どうしてもビタミン不足になるからね」
「壊血病になりますね」
咲はこの病気の名前を出した。
「ビタミン不足になると」
「それを防ぐ為に」
「タンポポ食べてたんですね」
「そういうの見てもよ」
「お花は食べられるんですね」
「それで店長さんもよ」
速水もというのだ。
「お花に詳しくて」
「それでなんですね」
「そう、召し上がられることもね」
「薔薇をですね」
「お好きよ」
「そうですか」
「それでよく飾ってるのよ」
店の中でもというのだ。
「奇麗だしね」
「確かにお花あるとそれだけで違いますね」
咲はこうも言った。
「そうですね」
「そうでしょ、それだけでね」
「お花があれば」
「それだけで華があるのよ」
「花は華ですね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「それになるのよ、だからお花は華道でしょ」
「そうなってるんですね」
「花は華でね」
「あるとですね」
「それだけで全く違うの」
咲に微笑んで話した。
「だから店長さんの花好きはね」
「いいことですね」
「お店にとってもね」
「お店も華があると」
「それだけでお客さんの出入りが違うのよ」
そうだというのだ。
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