第20節「四天の四騎士─アルカナイツ─」
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ろうぜ」
どうやらレイアとの決着を望むばかり、自分の使命を忘れていたらしい。
思わず呆れてしまい、レイアは溜め息をつく。この男、時々そういう所があるのだと。
だが、個体識別名称を与えられず、その建造目的から不自由を強いられている妹の事を、気にかけてくれている事には感謝していた。
「……他の連中はもう始めてるらしい」
「そうか。なら、我々も」
「ああ。始めようじゃねぇか」
咥えていたチュッパチャプスを噛み砕き、棒をアスファルトに放り捨てる。
そして上掛けを派手に翻すと、その左手指には何枚もの金貨が挟まれていた。当然、右手指の間にも同じように金貨が錬成される。
「互いに武器は同じ。なら勝敗を分けんのは──」
「己の技量のみ。それでこそ我が兄弟機ッ!」
レイアの手中にも、何枚もの金貨が錬成される。
互いに準備は整った。後は戦う、それだけだ。
「It's a show timeッ!!」
「戦闘開始、派手に散れッ!!」
それぞれの手中から機関銃の弾丸のように射出された金貨が、勢いよくぶつかった。
ff
「奴らは師匠のッ!?クッ……また邪魔をするかッ!!」
チフォージュ・シャトーの玉座にて、キャロルは苦虫を噛み潰したような表情で映像を睨んでいた。
「この手際の良さ。おそらくシャトーが三次元空間へのゲートを繋いだ際、位相差空間から漏れ出るエネルギーを検知されていると考えた方がよろしいかと」
声をかけられ見下ろすと、ノエルがこちらへ向かって歩いて来ていた。
「ノエル、魔剣の調整はどうなったんだ」
「ええ、特に問題はありません。調整は成功しました。加えて、かねてより準備していた追加戦力もようやくお披露目できそうです」
「ほう」
「如何しますか?試運転のついでに、目障りな人形どもを始末してもよろしいのですが」
キャロルはノエルが抜いた短剣を一瞥する。
以前見た時は何の変哲もないジャックナイフであったが、今はその外見が少々変化している。
柄と刃の間に瞳孔の開いた真っ赤な眼のような装飾があり、茨のような黒と灰色の装飾が拡がるそれは、砕かれる以前のダインスレイフの形状に酷似したものだ。
調整によって、切り裂きジャックのナイフにダインスレイフの欠片が馴染んだのだろう。
キャロルはそう納得すると、映像で送られてくる戦況を見ながら応えた。
「いや、あいつらだけで充分だ。相手はあの師匠、錬金術の歴史における天才だ。手札はなるべく見せないでおくべきだろう」
「なるほど……では、そのように」
「不満か?」
ノエルは短剣を腰に収めると、キャロルの顔を見上げる。
「いえ、別に。僕の存在理由はキャロル、あなたの復讐の達成をより確実にする事なのですから」
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