暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第117話:大人は子供を助けるもの
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持には多くの電力を使う。それが断たれたとなれば、最悪響の容態が悪化する危険もあった。

「それじゃあ、メディカルルームも!?」

 現状の危機感に多くの者達の目が正面モニターに集中する中、調は伊達メガネを取り出し静かに掛けると、切歌を伴ってその場を後にした。

「潜入美人捜査官眼鏡を取り出して、一体何をするつもりデスか?」
「……時間稼ぎ」
「なんデスと?」

 思わず聞き返してくる切歌に、調は真っ直ぐ正面を見据えたまま答えた。

「今必要なのは、強化型シンフォギアの完成に必要な時間とエネルギーを確保する事」
「確かにそうデスが、全くの無策じゃ何も……」

 何より今の2人にはLiNKERが無い。あれが無ければ2人は例えシンフォギアを纏ったとしても時間も力も大したものではない。前回、クリス達を助け出すのが精一杯だったのだ。今回の様に多数のアルカノイズを一度に相手取るのは難しいと言わざるを得ないだろう。

 それは調も分かっていた。分かっているからこそ、それを何とかする為に行動を起こしたのだ。

 調が切歌を伴って向かった先は、メディカルルーム。調はそこである物を手に入れるつもりだった。

「全くの無策じゃないよ」

 訝しむ切歌と共に、調はメディカルルームへと忍び込む。そこには今も尚響が静かに眠っていた。

「このままだと、メディカルルームの維持も出来なくなる」

 調の視線と言葉から、彼女が響を助ける為に行動を起こしたのだと切歌は気付いた。

「だったらだったで、助けたい人が居ると言えばいいデスよ!」
「嫌だ」
「どうしてデスか?」
「恥ずかしい……切ちゃん以外に、私の恥ずかしいところは見せたくないもの」
「はぁぁぁぁぁぁ! 調ぇぇぇぇぇぇ!」

 調の可愛らしい答えに、切歌は状況も忘れて調に飛びつこうとする。しかし調はそれを華麗にスルーし、結果切歌は床と盛大にキスをする事になった。

「て、ててて……全く何デスか、もう」

 床に盛大にぶつけて赤くなった鼻を押さえながら切歌が顔を上げると、調はメディカルルームの一画にある棚を開けた。床の近くに置かれたその棚の中には、怪しい緑色の薬液が入った試験管が並んでいる。
 それはLiNKER.MODEL K……奏専用に調整されたLiNKERだった。

「全く調ってば、穏やかに済ませられないタイプデスか?」
「メディカルルームなら、奏さん用のLiNKERの予備が保管されててもおかしくないもの」
「訓練の後、リカバリーを行うのもここだったデス」

 これがあれば自分達もシンフォギアを用いて戦える。奇しくも以前の戦闘で、奏がマリアにLiNKERを分け与えた事で2人はいらぬ事を覚えてしまったらしい。

 調が保存庫の中に手を伸ば
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