暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第117話:大人は子供を助けるもの
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分の事を気にするべきじゃないか?」
「アタシの事?」
「現時点で、錬金術師の手の物に破壊されていないシンフォギアは君と暁 切歌、月読 調の3人だ。その中でも君は実力が抜きんでている。優先的に強敵が回されるのは間違いなく君だろう」

 それは言外に切歌と調は片手間に無力化できてしまうという事を述べていた。そのことに気付いた奏は咄嗟に周囲を見渡す。幸いな事に近くには2人の姿はない。今の話が聞かれる心配はなさそうだ。

 ほふぅと安堵の溜め息を奏が吐いていると、ウィズは改めて颯人をある部屋に引き摺って行った。

「だぁぁぁぁ! もういい加減手を放せよ! 自分で歩けるっての!!」

 これ以上物みたいに引っ張られるのはごめんだと颯人が暴れれば、ウィズの方もそろそろいいかと手を放して彼を解放した。自由の身になった颯人は、立ち上がると引き摺られて乱れた服装を直す。

「ったく」
「もたもたするな、さっさと来い。もう2人は待っているぞ」

 言うが早いかウィズは目的の部屋の扉を開けた。その先では既に透とガルドの2人が待っているのが見えた。
 ウィズが扉を開けたのを見て、それまで椅子に座っていたらしき2人は扉の方を見て立ち上がる。2人が立って迎えたのに対し、ウィズは颯人に顎をしゃくってさっさと入るように促した。颯人は肩を軽く竦めて部屋に入る。

 流れで奏も颯人について行こうとするが、それはウィズにより防がれた。伸ばされた腕が通せんぼし、奏は室内に入れない。

「ここから先は魔法使い専用だ。悪いが君は留守番しててくれ」
「…………分かった」

 本当は颯人の事が心配だったが、魔法使いではない奏がついて行っても出来る事などない。何より奏が離れている間に何かあれば、それこそとんでもない事になる。
 渋々奏はその場に残る事を選ばざるを得ず、だがそれでも颯人の事が心配なのか不満そうな顔を隠せずにいた。

 そんな奏を見てか、颯人は苦笑を浮かべると一度奏に近付き被っていた帽子をまた奏に被せた。その際やや目深に被せられたのか、奏の視界が僅かな間塞がれる。

「ちょ、また……」
「まぁあれだ。俺らがいない間、頼れるのは奏だけって事だ。少しの間頼んだぜ」
「へいへい」

 奏の答えに颯人は笑みを浮かべ、踵を返して部屋に入る。颯人が部屋の中央に立ったのを見ると、ウィズが右手をハンドオーサーに翳した。

〈テレポート、ナーウ〉

 颯人達は一瞬光に包まれ、光が治まった時にはウィズを含めた4人は本部とは全く違う場所に居た。文明的な部屋ではなく、岩肌剥き出しと言った何処かの洞窟の中。
 透とガルドには見覚えが無いが、颯人はこの場所を知っている。ここは颯人が最初にウィズに連れていかれたアジトだ。

 この場所が初めての透と
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