矢澤にこが結婚してしまう話
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僕は姉、矢澤にこの事が好きだ。この世界で1番愛していると言っても過言じゃないくらいに。
きっかけはもちろん僕が小さい頃から姉がしていたスクールアイドル活動だ。1回学校まで見に行った事があるのだが、あまりの凄さに僕は驚愕した。フリフリの衣装、煌めくツインテール、輝く笑顔。僕の世界は丸ごと塗り変えられてしまった。
それから僕は姉である矢澤にこを意識しはじめた。褒めて欲しくて勉強も頑張りだした。褒めてくれるたびに見せてくれる優しい表情に僕は更に落ちていった。
僕だけが見たことのある姿。
僕だけに見せる表情。
そういうのを意識していると不意にある事が頭をよぎった。
もし姉に僕以外にも僕のような人ができたら……?
それからというもの僕は姉のアイドル活動に対して否定的になった。表向きには「厄介なファンなどに絡まれると危ないから」と言っているが、本当は違う。姉が他の人に取られてしまうかもしれないのが嫌だからだ。それに大勢の男が姉に群がる事にも耐えられなかったからだ。にこねぇちゃんの良さは僕が知っていればいい。にこねぇちゃんを独り占めしたい。
そう、僕は歪んでいる。
──────────────
「にこお姉さまがアイドルを引退するそうです」
ある日姉のこころからそういう連絡が来た。
「それ本当!!?? 〜〜ぃぃいやっほぉぉぉ!!! やったぁぁぁぁ!!!!」
「……お姉さまの心配をしていたのは知っていますが、そこまで露骨に喜ばれると少し不快ですね」
「まぁまぁ、嬉しいんだから仕方ないじゃん。はぁ〜遂に僕の思いが届いたのか……」
「ちなみに次は女優になるらしいですよ」
「女優!!??」
そんな! まだ僕だけのものになってくれないなんて……でもまあ……アイドルよりはマシかな。キモいおっさんが群がるわけじゃないから。
「あと今日久しぶりに帰ってくるそうです」
「本当!!??」
やった! 久しぶりに生のにこねぇちゃんを目におさめることができる!!! 神か?
僕の気分はかなり良かった。
だが、その先に待っていたのは最悪の展開だった。
「実は私、結婚する事にしたの」
「え」
何もかもが足元から崩れ落ちる感覚。あのにこねぇちゃんが誰かのものになる? ありえない。そんなもの僕が1番望まなかった展開だ。
それからその彼氏とやらの話が始まったが全て頭には入らなかった。ただ理解できたことは世間に発表するのは明後日、式はそれから2週間後という事だけだ。タイムリミットはあと2日。それまでにどうにかしないと結婚する事が確定してしまう。
どうする!? どうし
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