南ことりと白瀬楽人
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ぁ!!!!」
「あぐっ……がはっ!!」
「決めたぞ。先にお前をなぶり殺す。そしてお前が死んだらこいつを連れて帰って撮影会だ。ラブライブ優勝者のキメハメ動画……絶対高値がつくぞ……ククク」
やばい。このままじゃ殺される。いや、それよりもこの男ことりちゃんの動画を売るつもりなのか? そんな物が出回ってしまったら彼女はもう立ち直れなくなってしまうかもしれない。せっかくあの事件から立ち直って大会優勝まで成し遂げたんだ。そんな彼女の笑顔を奪うなんて絶対にさせない。
とりあえずまずは助けを呼ばないと。気付かれないように体の下敷きになっている左手でスマホで警察に電話をかける。後は逆探知を期待して耐えるだけだ。僕が死ぬまではことりちゃんに手は出されない。どんなに痛くても苦しくても、関係ない。警察が来るまでなんとしても生き抜いて見せる。彼女の人生にこれ以上傷をつけない為にも。
────────
楽人くんが殴られ、蹴られ、そしてまた思いきり警棒を振り下ろされる。私の大好きな楽人くんが。
「や……やめて……」
あたりに血溜まりができている。楽人くんの腕や足がありえない方向に曲がっている。
楽人くんが助けに来てくれてどれだけの時間が経ったのだろう。最初の頃は痛がったり苦しんでいたりしたけど、もう反応も薄くなってきた。
「お願い……楽人くん……死んじゃう……」
助けたいけど恐怖で足が動かない。涙が止まらない。なんで? どうしてこんな事になるの? せっかく事件から立ち直って普通の生活を過ごしていたのに。せっかく楽人くんと再開できたのに。あの時私が知らない人についていかなかったら今この人に目をつけられることも、楽人くんがこんな事になることも無かったかもしれない。悔やむ。悔やむ。悔やむ。それなのにいつも私は楽人くんに助けられてばっかりだ。
「はぁ……はぁ……疲れてきたし、反応も薄くなってきたな……そろそろトドメさすか」
このままじゃ何の恩も返せないまま楽人くんが死んでしまう。そんなの嫌だ。絶対に嫌。
「じゃあな……落人ォォォ!!!」
「だめぇぇぇぇ!!!!」
咄嗟に飛びかかる。男はバランスを崩し、一緒に倒れ込む。
「オイ!! 邪魔してんじゃねぇ!!! どけ!!!」
「嫌!!! どかない!!!」
「クソ!! 離れろ!!」
その時。サイレンの音が近づいてきた。警察だ。
「は? クソ! お前たちやりやがったな!?」
男は逃げようとするが、駆けつけた警官に取り押さえられた。
そんな事より楽人くんだ。急いで駆け寄る。
「楽人くん!! しっかりして!!
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