過去編 ウルトラルプス&リキシファイト
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ねっ……!」
「あぁ……! 磨貴の野郎、帰ったら拳骨からの説教だっ!」
やがて、戦いの終焉を告げる爆炎が東京の夜空に煌めき、ウルトラマンジェムの勝利を確信した人々が歓声を上げる。苦しい戦いを乗り越えた弘原海と琴乃も、熱く見つめ合い肩を組んでいた。
そして――そんな人々の様子を、ルプスとリキシが廃ビルの屋上から静かに見下ろしている。歓声を上げる民衆の姿から、愛弟子がヒーローとして受け入れられているのだと実感を深めていた2人は、感慨深げにその景色を見つめていた。
「……強くなったな、ジェム。このまま順当に成長していけば、秘められた本来の力に目覚めるのも時間の問題だろうよ」
「えぇ……その力なくして、あのテンペラー軍団に勝つことは不可能でありましょう。いずれ来たる決戦の日までに、彼には何としても強くなって貰わねばなりません」
「それが出来なかった時は……この次元の地球も、いよいよおしまいだろうからなァ」
だが、その表情に安堵の色はない。この先の未来に待ち受けている「真の巨悪」を知る2人は、剣呑な佇まいで人々を見守っている。
この時のジェムはまだ、己の体に宿る真の力――ブリリアントモードに目覚めてはいなかった。その覚醒に至らないままでは、決してテンペラー軍団に勝つことは出来ない。
それを知るルプスは険しい声を漏らし、この星に迫りつつある「脅威」が潜む星空を、静かに仰いでいた。だが、その隣に立つリキシは師の胸中を看破した上で、自信満々に胸を張っている。
「……おしまいにはなりませんよ、ルプス教官。この地球には我々以外にも、頼れる仲間達が居るようですからね」
「……あぁ、そうかもな」
どんな状況だろうと、どんな相手だろうと躊躇うことなく立ち向かっていたBURKの隊員達。その勇姿を知るリキシは優しげな笑みを溢し、弘原海達の元へと駆け寄って行く荒石磨貴の背中を見守っていた。
そんな彼の言葉を信じることに決めたルプスは、ぶっきらぼうに踵を返すと――人知れず優しげな眼で、肩越しに磨貴の様子を一瞥する。弘原海の熱い拳骨を貰って涙目になっている少年の姿を目にした師は、不敵な笑みを溢したのだった。
◇
それから約1年後。ついにテンペラー軍団が地球に襲来し、蒼き星は未曾有の危機に晒されたのだが。
その時すでにブリリアントモードの力を手にしていたウルトラマンジェムは、臆することなく恐怖の軍勢に挑み――滅亡の運命から、この地球を救って見せたのだった。
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