過去編 ウルトラルプス&リキシファイト
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貴は眉を顰めていた。
「とはいえ……手こずり過ぎだぞ、あいつめ。奴らが来る前に早く侵略を完了させて、1人でも多くの『素体』を確保しておかねばならんというのに……」
「地球人類は生物兵器の素体として非常に優秀だからな。奴らが来てしまったら、せっかくの素晴らしい素材が星ごと消し飛ばされてしまう。困ったものだよ」
「素体……!? 奴ら……!? てめぇら、一体何の話をしてやがるんだッ!」
「君には関係のない話だよ、ウルトラマンジェム。……これから死ぬ、君にはね」
ザラブ星人達が語る、「奴ら」とは一体何なのか。その全容を問おうとする磨貴を永遠に黙らせるべく、2人の星人は指先を彼の眉間に向ける。そこから放つ光弾で、瞬く間に彼の頭部を撃ち砕くために。
――だが、撃ち砕かれたのは磨貴の頭ではなく。この一室に繋がる、コンクリート壁の方だった。
「なにッ……!?」
「君達は、まさかッ!?」
「……!」
激しい衝撃音に動揺し、思わず振り返った2人のザラブ星人。壁を突き破ってザラブ星人達の前に姿を現したのは――彼らと同じく、人間と同じ体格になって駆け付けて来た、2人のウルトラ戦士だったのである。
そのウルトラ戦士達の姿を目にした磨貴は、思わず目を見開いてしまう。彼らは磨貴と一体化したジェムの「師匠」や、「兄弟子」に相当する戦士だったのだ。
「おおっと……おいたはそこまでだぜ、ザラブ星人。随分と好き放題暴れてくれたようだが……ここからは、こっちの番ってわけだ」
「ルプス師匠……!」
「……やれやれ。俺やリッパーの元で修行しておきながら、なんてザマだ。今はお前がこの星を守るウルトラマンなんだろう? ちったァしっかりしやがれよ、バカ弟子が」
ウルトラマンリッパーと同じく、ジェムを苛烈なまでに厳しく鍛え上げていた戦士――ウルトラマンルプス。
両肩にある赤い華の模様を特徴とする彼は、狼のような鋭い眼で2人のザラブ星人を見据えている。その様子はさながら、獲物を見つけた猛獣のようであった。
「土俵際から出ちまうまでは……勝負の行方ってのは、分からないものさ。それをこれから、たっぷりと教えてやる。……稽古代は、高く付くがな?」
「リキシ先輩まで……!」
「遅くなって済まなかったな、ジェム。この兄弟子の技、後学のためにもしっかりと見届けておけ!」
ジェムと共にリッパーやルプスの元で修行を積んでいた、宇宙相撲の達人――ウルトラマンリキシ。
ウルトラマン80に近しい顔立ちでありつつも、力士のように太く筋肉質な体型である彼の身体には、廻し姿のような模様があった。その名の通りに力士らしく四股を踏んでいる彼は、弟弟子を傷付けたザラブ星人達に静かな怒りを燃やしている。
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