第二十七章 白と黒
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ぎろり、なにか気配を探ろうとする顔に。
でも、探るまでもなかった。
気配の方から、三人へと突っ込んでいたのである。
目にも止まらぬ速度で、魔力の目ですら追い切れない、影が。
一番近くということか、その影は治奈へと飛び込んでいた。
くっ
と微かな呻き声を発しながら治奈は、反射的に素早く身を引いて避けた。
影は速度を一切落とすことなく方向転換をし、今度はアサキを狙った。
アサキも、横へステップを踏んで紙一重でかわす。
と、
ぐらり、影がふらついた。その速度が鈍った。
アサキがかわしざま、右の手刀を見舞っていたのである。
盲滅法に手を振るったというだけで、どこかを狙ったものではなかったが。
ただ、クリーンヒットではなかったものの、ふらつかせるには充分なようであった。
そして、アサキたちは影の正体を見たのである。
ふわふわとした服を着た先ほどの少女が、前髪の中から睨んでいるのを。
「くそ、やっぱり味方なんかじゃなかったか!」
カズミは舌打ちし、魔道着へ変身しようと両腕を振り上げた。
「いや、カズミちゃん、違う!」
治奈の叫び声に、カズミとアサキ二人の目が驚きに見開かれていた。
確かに治奈のいう通り、違っていた。
先ほどの、白い服を着たブロンド髪の少女とは。
顔は、双子ではないかというほどに似ている。
だが髪は黒く、ふわふわとした服も黒い色だ。そのせいなのか地色なのか、肌の色だけが妙に白く見える。
先ほどの少女とは、また別の少女であった。
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