第三章
[8]前話
「これは美味いな」
「ああ、そうだな」
「どちらの木の実もな」
「これは美味い」
「実にな」
「知恵を手に入れればこうした美味いものも食えるのだ」
オイナカムイは喜ぶ人間達に笑顔で話した。
「人間に最も大事なものは何か」
「知恵ですか」
「それですか」
「そうだ、この美味いものからだ」
まさにと言うのだった。
「そなた達に生活の知恵を授けよう」
「そうしてくれますか」
「これより」
「私達に」
「そうする、よく聞いて覚えるのだ」
オイナカムイは微笑んでだった。
人間達に生活の知恵を与えた、すると人間達はその知恵を使って地上で幸せに過ごせる様になった。そしてだった。
秋になるとだった。
「今年もだな」
「そうだな」
オイナカムイとコタンカムイは天界から地上の様子を見て話した。
「秋に実が実った」
「コクワも葡萄もな」
「そして人間に美味を与えてくれている」
「コクワは甘い汁が億入った緑の袋を」
まずは金と銀のそちらの話をした。
「それをもたらしてくれる」
「そしてフ紫の酒だ」
「それが入った袋を与えてくれる」
「人間達に多くのものを与えてくれる」
「そのどちらもな」
「与えてよかった」
「人間達にな」
二柱で笑顔で話す、そしてだった。
ここでコタンカムイはオイナカムイに話した。
「そなたはコワイそれに葡萄と共に人間達に知恵も与えたが」
「そのこともか」
「よかったな、これでだ」
「人間達は恵みとだな」
「知恵を得たのだからな」
「そうか、私は正しいことをしたのだな」
オイナカムイはコタンカムイの言葉に笑顔で応えた。
「そうだな」
「そうだ、二つの恵みがあったからこそ」
それ故にというのだ。
「人間はより知識を覚えられたしな」
「美味なものと共にだったからだな」
「そうだ、そなたは実にな」
まことにというのだ。
「いいことをした、人間の為にな」
「そうなのだな」
「実によかった、ではこれからもな」
「うむ、人間達を見守ってだな」
「何かあれば助けていこう」
神々は笑顔で話した、そしてだった。
神々は人間達を見守っていった、それでだった。
人間達は今もコクワと葡萄を楽しんでいる、全ては偉大なカムイ達の恵みのお陰である。アイヌに伝わる古い話の一つである。
コクワと葡萄 完
2022・3・12
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