第二章
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「人間達に知恵を授けたい」
「ではですか」
「まずはですか」
「コクワと葡萄ですか」
「その二つだ」
こう言ってだった。
オイナカムイは一旦天界に戻った、そうしてだった。
国の神であるコタンカムイ、年老いた逞しい身体を持つ老人の姿で豊かな白い髪の毛と髭を持つ彼に相談をした。
「私達は地上にコクワと葡萄をもたらしてなかった」
「しまった、忘れていたか」
「そうなのだ」
こうコタンカムイに話した。
「そこは忘れていた」
「それはいかんな」
コタンカムイも話を聞いて言った。
「しまったな」
「それでだ」
オイナカムイはあらためて話した。
「これよりだ」
「その二つを地上にもたらしたいか」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「私は人間達にこの二つの採り方と食べ方を教えてな」
「その時にか」
「生活の知恵もな」
これ自体もというのだ。
「授けたいのだ」
「あの二つの木の実は実に美味いからな」
「丁度教えたらいいな」
「美味いもののことはすぐに頭に入る」
コタンカムイは確かな声で答えた。
「実にな」
「そうだな」
「そなたの言う通りだ」
コタンカムイは笑って応えた。
「まさにな」
「それではな」
「うむ、すぐにな」
「地上にコクワと葡萄をもたらそう」
こうしてだった。
コタンカムイはオイナカムイに金と銀のコクワの木を一本ずつそして赤胴の葡萄の木を一本授けた。オイナカムイはその木達を持ってだった。
再び地上に降りて植えた、人間達はその木達を見て言った。
「また見たことのない木だな」
「そうだな」
「どの木もな」
「また美味そうな実が実っているが」
「これは何なんだ?」
「どうして採るんだ?」
「どうして食うんだ?」
「それはだ」
オイナカムイはここで人間達の前に出てだった。
コクワと葡萄の採り方と食べ方を教えた、そして実際に採らせて食べさせるとだった。
人間達は大喜びで口々に言った。
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