第三章
[8]前話
「これからはね」
「あの木を接ぎ木していって」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「日本全土に広まるよ」
「そうなりますね」
「そしてだよ」
伊藤はここで笑顔になった、そのうえで山田に話した。
「この大学にもね」
「あの木が来るのですね」
「そうお願いしてるから」
「必ずですね」
「来てくれるよ」
伊藤は笑顔のまま話した、そして実際にだった。
彼等の大学にもその木が来た、木はすぐに実を実らせた。
その実がたわわに実った木を見てだ、山田は共に見る伊藤に話した。
「いやあ、この林檎の実が落ちれば我々も」
「ニュートンみたいにだね」
「何かを発見出来ますかね」
「そうかもね、あとこの実は食べられるから」
「そうなんですね」
「基本料理用だけれど」
それでもというのだ。
「早めに収穫して置いておいてね」
「ああ、熟させるとですね」
「甘くて酸味が利いた味になる層だから」
「そのまま食べてもいけますね」
「そうらしいよ」
「じゃあ今度食べますか」
山田は伊藤の話を受けてこう提案した。
「そうしますか」
「そうだね、じゃあね」
「はい、また今度」
「一緒に食べよう」
「そうしましょう」
「そして」
山田は確かな顔と声で話した。
「ニュートンの様に」
「学問の発見が得られる」
「そのことを期待しよう」
「それでは」
こう二人で話して実際に日をあらためて林檎の実を食べた、その実は確かに美味かった。林檎を楽しむ二人を見てだった。
天国のヴォルテールは共に食べている天国で知り合った友人に話した、見れば彼もその木の実を食べている。
「日本でも食べられるなんてね」
「思わなかったね、あの時は」
「今ではあの林檎の木は世界中に広まっていて」
「実も食べられているね」
「彼女が言ったことは実は本当かどうかわからないけれど」
「今はですね」
「真実になっているね、人々に知恵をもたらした木の実は」
ニュートンに万有引力を発見させたそれはというのだ。
「今ではだよ」
「世界中で食べられているね」
「そして天国にいる我々もだよ」
「食べているね」
「それも美味しくね」
ヴォルテールは友人に笑顔で食べつつ話した、そしてだった。
食べた後で学問に励んだ、ニュートンの様に林檎から学問の発見を得られることを思いながら。日本の二人がそうであった様に。
ケントの木 完
2022・4・12
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