第五章
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「そうだな」
「はい、妖精も服を着ますので」
「脱ぐ時もあるな」
「その通りです」
「若し中で裸ならよい」
その場合はというのだ。
「だからこう言ったのだ」
「そうですね、今私はちゃんと服を着ています」
「そうなのか」
「ですから皮を脱げます、王子がそこまで気遣って下さったので」
だからだと言うのだった。
「その気遣いに応えさせて頂きます」
「では皮を脱ぐか」
「そうさせて頂きます」
こう言ってだった。
オレンジは皮を脱いだ、するとその中からだった。
十五歳程の白い肌にオレンジ色のドレスを着た少女が現れた、大きめの目はオレンジ色で澄んでいてきらきらとしている。髪の毛もオレンジ色でまるでオレンジの汁の様で腰まである。
その姿を見てだ、王子は一目で心を奪われた。そうして常に彼女の傍にいて彼女の考えを聞いて話しているうちのだった。
王子は両親である王と王妃に話した。
「私は伴侶がまだ決まっていませんので」
「だからか」
「あの娘をなのね」
「美しく聡明なので」
だからだというのだ。
「そうしたいのですが宜しいでしょうか」
「あの娘のことはわし等も知っている」
王は我が子に玉座から答えた。
「美しいだけでなくだ」
「聡明ですね」
「しかも妖精の世界とのつながりもありな」
「その縁故もですか」
「いい」
「私も反省する理由はありません」
王妃も述べた。
「あの娘なら必ずよい王妃となり」
「私の政の助けになってくれますね」
「後は王と同じです」
「そうですか、では」
「この国を頼みます」
王妃は微笑んで言った、こうしてだった。
王子はオレンジの妖精を妻に迎えた、そうして国を見事に治めていったが。
王妃の元家族つまり義理とはいえ両親そして兄にあたる一家は元家族ということから貴族それも位の高いそれに列せられた、そうして見事な宮殿に住み贅沢な暮らしをする様になったが。
三人共それが信じられないという顔で話をした。
「いや、まさか」
「こんなことになるなんて」
「思わなかったよ」
オレンジ好きの一家は思わぬ幸運に戸惑うばかりだった、だが王妃が来るとだった。
かつての時の様に優しく迎えた、そして王妃は彼等に笑顔で話した。
「あの時父上と母上、兄上が私を食べず大事にしてくれたので今の私がありますので」
「それでなのか」
「私達を貴族にしてくれて」
「今も大事にしてくれてるんだ」
「はい、皆さんは私の大切な家族です」
こう言うのだった。
「これからも宜しくお願いしますね」
「そう言ってくれるなら嬉しいが」
「しかし私達が貴族になるなんてね」
「オレンジが喋ったことも不思議で」
「まさかオレンジの妖精がいて」
「しかも人間の姿で」
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