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オレンジの娘
第二章

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 オレンジを見てだ、背が高く精悍で黒い髪と目の顔をいぶかしまさせて言った。
「噂通りだな」
「はい、オレンジですね」
「紛れもなく」
「小さな女の子程の大きさで」
「動いていますね」
「これは妖精だな」
 王子はオレンジを見て言った。
「間違いなく」
「妖精ですか」
「このオレンジは妖精ですか」
「ではオレンジの妖精ですね」
「そうだ」
 周りの者にこう話した、そしてだった。
 王子は一家にもだ、こう言った。
「申し訳ないがオレンジを城で引き取りたい」
「王子様のですか」
「そちらにですか」
「そうしたい」
 確かな声で述べた。
「これよりな」
「そうですか」
「それでは」
 国の跡継ぎに言われるとだった。
 一家も頷くしかなかった、それでオレンジに話した。
「それではな」
「これから王子様にお仕えするんだよ」
「失礼のない様にね」
「はい、では行って参ります」
 オレンジも応えてだった。
 王子はオレンジを王宮に連れて帰った、すると彼の両親である王も王妃もだった。
 怪訝な顔になってだ、息子に言った。
「噂は聞いていたが」
「本当にオレンジね」
「オレンジが喋って動いてか」
「家事もするのね」
「はい、オレンジの妖精なので」
 王子は両親に笑顔で話した。
「そうするのです、妖精がいてくれますと」
「何かと心強い」
「そう言うのね」
「頼りになります、ですから」
 それでというのだ。
「これからです」
「そのオレンジを頼ってか」
「やっていくのね」
「そうしましょう」
「そなたが言うならな」
「それではね」
 二人も目にかけていてしかも愛情を以て育ててきた跡継ぎが言うならだった。
 これまで彼が聡明で勇敢だったこともあり頷いた、こうしてオレンジを宮廷に入れたが。
 ある日王妃の末の妹が婚礼の時にだった。
「ドレスをもう二着、馬をもう一頭ね」
「叔母上にですね」
「婚礼の贈りものに入れたいけれど」
「左様ですか」
「けれどそれがどうにもなくて」
 王子に困った顔で話した。
「早く作らないと」
「それでは仕立て屋と馬商人に言いましょう」
「あの、でしたら」
 今王宮の厨房の仕事を終えたオレンジがここで申し出てきた。
「宜しいでしょうか」
「今の話のことかい?」
「はい、私が出しましょうか」 
 こう王子に申し出たのだった。
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