第三章
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「そしてです」
「悪戯を仕掛けましたか」
「あれ位ならいいですよね」
「私がそう思っている様に見えますか?」
「姉上は真面目過ぎますよ」
「違います、貴方が不真面目過ぎます」
「またそんなことを言って。人は昼は真面目でもです」
ディオニュソスは杯を手に笑いながら話した。
「夜はそれでもいいじゃないですか」
「夜はですか」
「いつも真面目でなくていいのですよ」
「時として破目をですね」
「外せばいいです」
「それが貴方の考えですね」
「そうです、まあ葡萄酒は水等で割って飲む様には言っておきます」
本来の作法をというのだ。
「ですからそういうことで」
「よしとせよというのですね」
「はい、そういうことで。後で姉上の方にも差し入れをしますので」
「ここは抑えてくれ」
ヘパイストスは二人の間に入った。
「どうかな、ディオニュソスも人間達に教えるしな」
「本来の飲み方をですか」
「そうするしな」
「あと夜にだけ飲むことも言っておきますので」
ディオニュソスはそれもと話した。
「ですから」
「それでは。兄上も言われますし」
「そういうことでな」
礼儀正しく作法を守る彼女の性格を踏まえて言った、アテナは年長者の言うことは聞くのである。それでだった。
アテナも下がった、そして己の館に入ると差し入れが来ていた。
女神は武装を解き女神の服に戻って葡萄酒を飲みつつ周りに話した。
「我が弟ながら。兄上も兄上ですね」
「全くですね」
「困ったことですね」
「どうにも」
「はい、夜でも真面目にです」
自分に忠実どころか心酔している従神達を相手に愚痴りながら飲むのだった、だがそんな話もであった。
ディオニュソスは聞いて言うのだった。
「姉上はそう言われても人がそうしているのなら」
「いいのだな」
「そうではないですか」
今も共に飲むヘパイストスに話した。
「人がそうしているのですから」
「酒を飲んでだな」
「はい、確かに私は教えましたが」
「破目を外しているのは人だな」
「そうです、それならです」
「夜はそれでいいか」
「そうかと、ではアテナイはその様にということで」
「いいか」
「はい、昼は真面目にしても」
「夜はだな」
「それでいいのですよ」
こう言って飲むのだった、その酒は水で割られていた。その酒を飲んでそうして笑って話すのだった。
アテナイの夜 完
2022・4・14
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