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第二十六話 お菓子を貰ってその十三

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「本当に」
「そうなるのよね」
「モンゴルでもね」 
 かな恵はこの国のことも話した。
「あそこはね」
「うちの学校モンゴルからの子もいるけれどね」
「うん、あっちじゃね」
 今回四人の聞き役に徹している一華に話した。
「狼は本当に偉大で格好いい」
「そうした生きものだっていうわね」
「青き狼と白き鹿でね」
「狼はモンゴル人のご先祖様なのよね」
「そう言われていて」
 モンゴル人はそこからはじまるというのだ、これは元朝秘史にも書かれている言葉でありこの国のはじまりとさえされている。
「あっちじゃ狼に羊取られても」
「天の取り分だって言ってね」
「いいって言うらしいしね」
「そうみたいね」
「だからね」
 かな恵はさらに話した。
「狼も誤解されてるわね」
「それもかなりね」
「童話もあって」
「欧州の方のね」
「けれど実はね」
「有り難いね」
「少なくとも日本だと」
 自分達は産まれたこの国ならというのだ。
「狼は怖くないわよ」
「むしろ有り難い存在ね」
「だからいなくなってね」
「大変なのよね」
「幸い絶滅してないってわかったけれどね」
「ドリトル先生が見付けてくれてね」
 一華は自分達が通っている高校の上にある八条大学の教授でもあるこの人物がそうしたことも話した。
「それでね」
「ええ、奈良県と和歌山県の境にね」
「まだいてね」
「それを発見してくれたから」
「今は天然記念物になって」
「保護が進められてるのよ」
「そうよね、それで将来は」
 一華はさらに話した。
「その狼、ニホンオオカミを増やして」
「それで昔みたいに日本のあちこちの山にいる様にしてね」
「獣害を減らしていくのね」
「実際獣害って深刻だから」
 日本の社会問題の一つだ、山にいる鹿や猿、狸、狐、猪、鼬、ハクビシン、鳥、そして熊達が田畑を荒らしているのだ。
「それを何とかするには」
「そうした野生の生きものを食べてくれる狼が必要ね」
「実際に獣害が深刻になったのはね」
 日本におけるそれがだ。
「ニホンオオカミがいなくなってからだし」
「それでよね」
「尚更ね」
「ニホンオオカミは必要ね」
「そう、まさに『おおかみ』よ」 
 かな恵は笑って述べた。
「狼はね」
「日本ではそうよね」
「だから狼は怖くないのよ」
「むしろ有り難いわね」
「誤解したら駄目よね」
「本当にそうよね」
 一華も頷いた、そうしてだった。
 またお菓子を食べた、お茶菓子のゼリーを食べたがそれはかな恵の言う通り甘く食感もいい実に美味いものだった。


第二十六話   完


                  2022・2・15
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