第一章
[2]次話
最強の燕でもいい
根室千佳はこの時自分のクラスの自分の席で月刊カープで期待の若手が誰かチェックしていた、その服はいつも通りカープの色だ。
そしてだ、こんなことを言った。
「二年連続最下位のチームだってね」
「ヤクルトのこと？」
「そう、去年優勝してね」
丁度傍にいたクラスメイトに応えた。
「今年もあの強さね」
「確かに強いわね」
「何でもね」
千佳は友人に席に座ったまま話した。
「最下位だったチームが次のシーズン優勝したら」
「何かあるの？」
「その次の年は優勝しないらしいの」
「そうなの」
「滅多にね」
「滅多になの」
「それやったのってね」
過去そうしたチームはあったがというのだ。
「残念なことに巨人だけなのよ」
「それは残念ね」
クラスメイトもその話に頷いた。
「巨人だけっていうのは」
「よりによってね」
「そうよね、巨人が連覇したとかね」
「それだけで忌々しいけれど」
「最下位から連覇ってね」
「それをしたのは巨人だけで」
千佳はさらに言った。
「長嶋さんが最初に監督だった頃らしいわ」
「それかなり昔よね」
「昭和五十年に最下位になって」
監督になった最初の年である。
「それで翌年ね」
「優勝したのね」
「それでまた優勝したの、けれどね」
それでもというのだ。
「それはその時の巨人だけで」
「他のチームはしていないの」
「そもそも最下位からいきなり優勝自体がね」
そうなること自体がというのだ。
「凄いことだし」
「確かに滅多にないわね」
クラスメイトもそれはと応えた、何時しかクラスメイトは千佳の前の席に座ってそれで向かい合って話をしている。
「それは」
「そうでしょ」
「それだけで凄いわね」
「それでそこからね」
「連覇っていうのは」
「もうね」
「その時の巨人だけで」
「滅多にないの、どうもね」
千佳はクラスメイトに話した。
「優勝する時に力使いきるみたいよ」
「最下位からなったら」
「やっぱり最下位になるからにはね」
それならというのだ。
「それなりの戦力で」
「そこから優勝するには」
「プロだから実際はどのチームも戦力は大差なくても」
それでもいうのだ。
「そこまでするからには」
「力かなり使うのね」
「それですっからかんになって」
力を使い切ってというのだ。
「次の年はそれなりの成績になって」
「優勝しないのね」
「そうみたいだれど」
「今年のヤクルトは違うわね」
「いや、強いわ」
千佳は冷めた顔になってこの言葉を出した。
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