第七十話 詰所はお家その十一
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「お願いしますよ」
「落ちない様によね」
「二人乗りは危ないですから」
「それで行ってるからね」
「お青に何かあったら」
それこそという口調でした。
「取返しがつかないですからね」
「お顔?」
「そうですよ、女の人のお顔に何かあったら」
「私は別に」
「いえ、別にじゃないです」
いつもと違って強い真面目な口調でした。
「女の人については」
「そう言うの」
「そうです、ですから」
「慎重運転ね」
「僕は兎も角先輩には怪我一つない様にしますよ」
「私は、なのね」
「はい、お姫様ですし」
こうも言ってきました。
「尚更ですよ」
「お姫様はないでしょ」
新一君の今の言葉に思わず笑って返してしまいました。
「幾ら何でも」
「じゃあ天使とか」
「宗教違うし」
また笑ってしまいました。
「キリスト教じゃない」
「女神とか」
「女神もないわよ」
そのまま笑ってしまいました。
「それも宗教違うわよ」
「じゃあお姫様で」
「戻らないの。というか新一君時々変なこと言うわね」
それもかなりです。
「私について」
「本気じゃ駄目ですか?」
「どうして私がお姫様なのよ」
こう言われてからついつい笑ってしまったのでそこを言いました。
「そんなのないわよ」
「そうですか?」
「私生まれも育ちも教会で」
それで、です。
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