第五十七話 梅雨だからその十二
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「あの作品はね」
「終わらない可能性もあるね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「そのつもりでね」
「読んでいくことだね」
「本当に昔はね」
副部長は溜息混じりに言った。
「あの人も毎週描いてね」
「ちゃんと進めていたのにね」
「それがよ」
今ではというのだ。
「あの調子よ」
「描かなくなったね」
「残念なことよ」
「そうなった事情があるにしても」
「本当にね」
こう言うのだった。
「何とかならないかしら」
「難しいよね」
「ええ、それで私はね」
「もう覚悟しているんだね」
「そうよ、終わらないことをね」
未完に終わる可能性をというのだ。
「覚悟しているわ」
「辛いね」
「辛くてもね」
そうでもというのだ。
「あの有様だとね」
「完結しないことも」
「本当に有り得るというか」
「可能性高いんだ」
「そう思うからね」
だからだというのだ。
「覚悟を決めて」
「終わらなかったら」
「悪口言いまくるわ」
その時はというのだ。
「そうするって決めてるわ」
「何で終わらせなかったんだって」
「描けばよかったのにってね」
その様にというのだ。
「言うわ」
「そうするんだね」
「絶対にね、そんなことになって欲しくないけれど」
覚悟は決めていてもというのだ。
「その時は言うわ」
「ううん、あの作品読んでいたら」
咲は作品自体の話をした。
「面白いですよね」
「面白いからこそよ」
「描いて欲しいんですね」
「もうネットでいつも言われてるけれど」
それでもとだ、副部長は話した。
「仕事しろと言いたいわ」
「それよく言われますよね」
「あれだけ仕事しないならね」
それこそというのだ。
「言われるわよ」
「週刊連載で一年に十回位しか載らないですからね」
「それだと月刊と変わらないわよ」
「そうですよね」
「缶詰にして阪神の勝ってる試合ばかり観てもらってハイテンションにして」
副部長はかなり真剣に考える顔で言った。
「描いてもらおうかしら」
「阪神の試合ですか」
「作者さん阪神ファンなのよ」
「あっ、そうなんですね」
「だからね」
その為にというのだ、尚この部では阪神ファンは部長がそうであるが巨人ファンは一人もいない。邪悪を極めているこのチームを応援する者はいないのだ。
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