暁 〜小説投稿サイト〜
イベリス
第五十七話 梅雨だからその十一

[8]前話 [2]次話
「それが宿らないよ」
「それが作品なんですね」
「僕が思うにね」
「だから絶対にですね」
「作者さんの義務としてね」
「完結させることですか」
「だから」
 部長はさらに話した。
「ハンターハンターはね」
「あれ終わりますかね」
「終わって欲しいね」  
 部長は心から思って言った。
「何とかね」
「終わって欲しいですか」
「書かないから」
 この作品の作者はというのだ。
「昔は違ったけれど」
「昔はちゃんと週刊連載してたんですね」
「最初の作品はあまり長く続かなくて」 
 そうしてというのだ。
「結構お色気路線だったんだ」
「最初はそうだったんですか」
「それが次の作品が大ヒットしたけれど」
「ああ、あの作品ですね」
「妖怪格闘漫画だね」
「そう言っていいですね」
「あの作品も最初は幽霊探偵ものみたいだったんだ」 
 最初の作風はそうであったというのだ。
「それが格闘ものになって」
「それで、ですか」
「相当ストレスだったらしくて」
「そこからですか」
「この作品の連載は終わったけれど」 
 完結させたがというのだ。
「そこから変わったみたいだね」
「描かなくなったんですね」
「そうなってね」
「それで今もですね」
「もう滅多にね」
 一年の間に十週位しかというのだ。
「描かなくなったんだ」
「そんな事情があったんですね」
「そうだよ、けれどね」
「部長さんとしてはですね」
「描いて欲しいよ」
 心から思って言うのだった。
「ずっとね、それでね」
「終わって欲しいですか」
「完結させるつもりらしいけれど」
 作者自身はそう言っているという。
「本気で終わらせたいならね」
「もっと描いて欲しいですね」
「つくづく思うよ」
 心からというのだ。
「僕は」
「そうですか」
「全く。どうしたものかな」 
 部長は口をへの字にさせて言った。
「あの人は」
「完結しない可能性あるわよ」
 副部長は言った。
「あの作品は」
「やっぱりあるよね」
「あんな調子だとね」
 それこそというのだ。
「それもね」
「覚悟しておいた方がいいね」
「もう描かなくてもいいし」
 漫画をというのだ。
「それだけのお金があるし」
「尚更だね」
「相当編集部と揉めたらしいし」
「それで嫌になってるとは聞いてるよ」
「そうした事情もあるしね」   
 だからだというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ