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銀河を漂うタンザナイト
慰霊祭とシトレの思惑
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「二人とも自信が無いかね?」

そう問われても二人は答えなかった。ヤンはシトレ元帥の手に乗るがいやで、クロパチェクは本当にどうなるのかが分からないので答えを出せなかった。

「もし君たちが艦隊を率いてイゼルローン要塞を落とせれば…」

シトレはそう言うと意味深な視線を二人に投げかける。

「もし、君達がこの攻略作戦を成功させれば、ヤン、君に対する好悪はどうあれ国防委員長は君の偉業を認めざるを得ないだろう。そしてクロパチェク、君にも相応の評価が下されることになるはずだ。そして経験と実績をより積み重ねて、軍内でも十分な影響力を確保できる。そうすれば より有利に事態を進める力を得ることもできる」

そして国防委員長に対するシトレ本部長の地位も強化されることになる。もはやことは軍事上の話だけではなく政略などの範疇に入るようだ。

「わかりました、やれというのならやりましょう」
「…微力を尽くします」

クロパチェクが承諾し、それからやや時間をおいてヤンも返答した。

「そうか、やってくれるか」

シトレ本部長は満足そうにうなずく。

「必要な物があればキャゼルヌに言ってくれれば、可能な限り手配しよう」
「了解です」
「了解しました」

そう言って敬礼して退室しようとした二人だが

「あぁ、そうだ。最後に聞きたいのだが君ら二人が出していた作戦案がもしも実行されていたら、わが軍は勝てていたかね?」
「ええ、おそらくは」
「少なくとも、これ程酷い負け方はしなかったでしょうな」

シトレの突然の問いかけに、ヤンは控えめに、クロパチェクはやや毒舌気味に答える。

「ふむ、では今回の作戦案をいかしてローエングラム伯に復讐することは可能ではないかね?」
「それは不可能です」
「私も同意見ですね」

二人の将官はきっぱりと否定した。

「ローエングラム伯が戦勝に驕って道を誤らない限り、基本である多数を持って少数を討つ戦法を取るはずです。少数を持って多数の敵と戦うなど戦略としては下策中の下策です」

これはヤンの言葉だ。

「成程。つまり、今回我々は戦略の面においては誤ってはいなかったわけだ。敵の二倍の兵力を揃えて投入している。では、なぜわが軍は惨敗したのか?」
「やはり有利さに驕って、数の上で有利ながら兵力分散の愚を犯して、各個撃破の的になったからでしょう。それと……」
「それと?」
「情報戦に失敗し、敵艦隊の位置の把握はおろか、味方艦隊の位置把握すらできなかったことでしょう。もし仮に、敵艦隊がわが軍に対して各個撃破戦法を取ろうとしていたのを把握していれば、こちらも艦隊を集中させて対応できたはずです。そうなれば数の上では有利な立場で戦いえたはずです」

ヤンとクロパチェクがお互い
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