慰霊祭とシトレの思惑
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貴官は第4次ティアマト会戦時の活躍が認められて准将に昇進することが内定していたのだ。そしてアスターテ会戦直前に准将に昇格することが決定した。ただ決定したころには第4艦隊はすでにハイネセンを発って、無線封鎖状態にあったので、帰還後に辞令交付するつもりだったのだが今回の戦果もあり、そのまま少将に昇任させることとした。これで納得してくれるかね?」
「…分かりました、本部長。それなら納得です」
「うむ、分かってくれたか。まぁそう言う訳だ。ヤン少将は作られた英雄になるのは不本意かもしれないが、これも軍人としての任務としてあきらめたまえ。それに君たち二人は実際に昇進にふさわしい戦果を立てたのだ。にもかかわらず昇進させないとあっては統合作戦本部も国防委員会も信賞必罰の実を問われることになる」
「その国防委員会ですが、トリューニヒト委員長のご意向はどうでしょうね?」
「一個人の以降はこの際問題ではないのだよ。たとえ委員長であっても公人の立場がある」
「そうですか…」
「それともう一つ、これは決定ではなく内定だが、軍の編成に一部だが
変更が加えられる。まずはヤン少将、第6艦隊の残存兵力と第2艦隊の一部兵力、それと国内の新規兵力を加えて第十三艦隊が創設される。そして君が初代艦隊司令官に任命される。次にクロパチェク少将だが、貴官も再編予定の第四艦隊の艦隊司令官に任命される。戦力は先のアスターテ会戦での第四艦隊残存戦力に、国内の軍中央の艦隊に所属していない独立分艦隊が数個編成に加えられる」
「普通艦隊司令官は中将を持ってその任に充てるはずでは?」
クロパチェクとヤンが二人そろって首をかしげる。
「両艦隊の規模は通常編成の約半分だ。艦艇数は約6000~7000隻で、兵員約70万人といった所だ。そして君たち二人の艦隊司令官としての初任務はイゼルローン要塞の攻略になる」
「イゼルローンを?」
普段感情を表に出すことの少ないクロパチェクが思わず声をあげて立ち上がる。その拍子に咥えていたシガレットが床に落ちる。
「お言葉ですが本部長閣下。"2個半個艦隊"であのイゼルローンを攻略せよとおっしゃられるのですか?」
「そのとおりだ」
シトレはそう言ってから床に落ちたシガレットを拾い上げ、テーブルの側に置いてあったゴミ箱の中に火を消してから放り込んだ。
「可能だとお考えですか?」
「君に出来なければ、他の誰にもできないと私は考えているよ」
ヤンの問いかけに対して答える本部長。
「やはり自信がないかね?」
「いえ、そうではありませんが……」
二人は沈黙していた。一方は成算があり、もう一方は命令であれば従うまでという姿勢だった。そして二人は共通して考えていたことだがこの提案に乗ることが、良い結果に繋がるか判断できなかったのだ。
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