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銀河を漂うタンザナイト
慰霊祭とシトレの思惑
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寝不足も相まってか、着席して開口一番にクロパチェクが毒を吐く。

「まさか。私がそんな人間に見えるかね?それに君達はまだ生きているじゃないか。これからも生きて貰わなくては困るよ」
「では、どんな用件なのですか?閣下がこんな風に呼ぶ時はたいてい碌なことにならないのですがね…」
「やれやれ、そう二人そろってこの老骨に向かって毒を吐かんでくれ。まったく二人して温和な表情で辛辣な台詞を吐くのは士官学校時代から変わらんな」
「それで今回の呼び出しは何なんです?どうせろくでもない話でしょうが」

そう言ってから、クロパチェクは胸のポケットからシガレットケースをとりだし、中から一本のシガレットを取り口にくわえる。

「まぁ、いい。今回は君達に知らせておくことがあって来てもらった。正式な辞令交付は明日になるが君たち二人は少将に昇進する。これは内定ではなく決定だ。理由はわかるかね?」
「「負けたからでしょう?」」

2人の答えが綺麗にハモる。その様子に予想通りの返答をかつての教え子二人から得たシトレは、苦笑を浮かべながら少しだけ嬉しそうな顔を見せ話を続ける。

「そう二人して同じ答えを出さんでくれんかね。私のでる幕が無くなってしまうじゃないかね」
「ですがそれが事実なのではありませんか、校長…。いえ本部長殿」

そう言ったのはヤンの方だ。

「なぜそう思うのかね?」
「古代の兵法書曰く、やたらと恩賞を与えるのは窮迫している証拠だとあります。敗戦から目をそらす必要がありますからね」
「なるほど、君の言う通りだ。近来にない大敗北を被って軍民ともに動揺している。それを押さえ込むには英雄の存在が必要なのだ。つまり君たち二人のことだよ、ヤン少将、クロパチェク少将」

ヤンは微笑したが愉快そうには見えなかった。一方クロパチェクの方は相変わらず表情を変えずに、くわえたシガレットの煙を吐き出しながら口を開く。

「我々の戦功などたかが知れています。それなのに将官クラスへの昇進を喜ぶ者がいるでしょうか?しかも敗軍の将たる我々二人が」
「それは誤解と言うものだ。君たちの功績は十分に評価されうるものだ。それに私は君たちを敗軍の将と思っていない。君たちは最善を尽くしたと思っている。たとえその結果として敗れたとしてもだ」
「まずはヤン少将、貴官はパエッタ中将負傷後に艦隊を率いて奇跡を起こして数で優る帝国軍と互角に戦った。そしてクロパチェク少将、貴官は第4艦隊司令部壊滅後に分艦隊司令官パノフ准将を的確に補佐し、准将負傷後は大佐の身でありながら艦隊を統率して第2艦隊と合流し、帝国艦隊を迎撃した。これのどこにケチのつけようがあるのかね?」
「しかしそうだとしても大佐から少将への昇格はやり過ぎでは?」
「まぁ聞きたまえ、クロパチェク少将。元々
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