第22話 正宗と軍師の邂逅
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馬鹿じゃない?
漢王朝がこの大陸を治めているのに、何でお前が統一することができるのよ。
「大陸を統一するですか?漢王朝が健在なのにどうして、あなたが大陸を統一できるのです。それ以前に、この大陸は既に一つです。それとも劉ヨウ殿は皇帝を目指すつもりですか?如何に、劉ヨウ殿が皇族とはいえ、あなたの家柄は後漢の皇族とは遠縁です。皇帝になるには無理があります」
アタシは思いついた限りのことを劉ヨウに言った。
「そのようなことは承知しています。私は何も今とは言っていません」
アタシの反論に対し、劉ヨウは事も無げに、言い返してきた。
劉ヨウは何て言った?
『今とは言っていません』
確かにそう言った。
「それはどういう意味です?」
アタシは劉ヨウの言葉が気になった。
「いずれ大規模な農民の反乱が起きるでしょう。それを引き金に、漢王朝は衰退していきます。その結果、この大陸は諸候達が血で血を洗う戦乱の世になるはずです。その時、私と袁紹は天下に覇を唱えるつもりです。私には優秀な人材が一人でも多く必要なのです。その人材の中で、あなたには私の右腕となり戦乱の世を共に歩んで欲しいのです」
こいつ何者なの・・・。
最近、賊の数が増え初めているのは知っていた。
その原因が朝廷の腐敗にあるということも。
私のところに訪ねてくる豚ども所為で、民が重税に喘いでいる。
最初は、税を払えない農民達が賊に身を落とした。
その賊に襲われた農民達が彼ら同様、賊に身を落とした。
負の連鎖は止まらない。
政が変わらない限り、この悲劇は止まることはない。
国の礎である民を蔑ろにした結果、最後に待っているのは国の崩壊。
劉ヨウの言っていることはあながち的外れなことではない。
アタシは劉ヨウの先見の目に驚いた。
劉ヨウのような考えを持っている者はまずいない。
いたとしても片手の指で数えれる程度だと思う。
私は反乱が起きるであろうと思っていた。
しかし、漢王朝が滅びるとは思っていない。
いや、滅びないと信じたいというのが正確ね。
それを劉ヨウは滅びると断言している。
私は劉ヨウの冷静に未来を見据えている姿勢に恐怖を覚えた。
私は生まれて初めて、人に恐怖を感じた。
普通の人間は都合の悪いことから目を背ける傾向にある。
だから、都合の良い情報だけに目を向け、目を曇らせてしまう。
個人差はあるが、私とはいえ劉ヨウのように感情を微塵も入れずに判断できない。
人だからこそ、そうなるのが自然なのだ。
劉ヨウはそれを実践している。
未来をその目で見ているかのように・・・。
今まで、私の才に恐怖を感じた連中のことを
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