第二章
[8]前話
「こんな時だけれど」
「こんな時だから和んでよかったな」
「そうね、それじゃあね」
「水が引くまで待とうな」
一家は自然と明るくなった、それで水が引くまでイルカのことを思い出しながら和やかに過ごせた。そうして水が引いて災害が収まって帰ったのだった。
その話をネットで観てだた。
オーストラリアクイーンズランド州にあるイルカの保護団体パーナルクルズドルフィンセンターに勤めているバーナード=グスマン金髪を真ん中で分けた細面で青い目で面長にすらりとした長身の彼が周りに話した。
「アマゾンはカワイルカですが」
「同じイルカだな」
「私達が保護しているね」
「そのイルカだな」
「そうですよね」
グスマンは同僚達に話した。
「こっちうはシナウスイロイルカですが」
「それでもな」
「イルカは同じで」
「こうした話を聞くとな」
「自然と嬉しくなるわね」
「そうですね、じゃあうちの子達にご飯をあげましょう」
こう言ってだった。
グスマンも他のスタッフ達も施設の傍にある海辺に出た、すると。
「グァッ」
「ガァッ」
七匹のイルカが砂浜近くにまで来ていた、その彼等にだ。
グスマン達はご飯を上げようとしたが。
「グァッ」
「あっ、またミスティークがですよ」
グスマンは周りに笑って話した。
「お礼のプレゼントを持って来てますよ」
「今日はガラスの瓶か」
「それを持って来てくれたのか」
「そうしてくれたのね」
「このお礼を見ると」
グスマンは笑ったまま話した。
「嬉しくて仕方ないですね」
「癒されるね」
「世の中色々あるけれど」
「それでもね」
「はい、イルカはいいですね」
グスマンはこうも言った。
「頭がよくて愛嬌があって」
「気遣いもしてくれて」
「それでこうしたこともしてくれるから」
「嬉しくなるね」
「癒されるよ」
「全くです」
笑顔で言ってそうしてだった。
グスマン達はミスティークにも他のイルカ達にもご飯をあげた、するとミスティークだけでなく他のイルカ達も嬉しそうだった。皆その彼等を見て心から癒しを感じた。
イルカの癒し 完
2022・6・26
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